メカトロニクスで使われるコントローラーで一番多いのは、リレー回路の置き換え用として開発された「プログラム・ロジック・コントローラー」略してPLCです。プログラムロジックコントローラーはシーケンサーやプログラムコントローラーとも呼ばれ、様々なメーカーが販売しています。
リレーを使ったコントローラー
リレーを使ったコントローラーは1970年代まで良く使われましたが、近年では大きなモーターを制御するとかの場合を除いて使われていません。リレーには、つぎのような特徴があります。
- 寿命が短い(定期的に交換しないと故障する)
- 消費電力が大きい
- 動作速度が遅い
- 発熱量が大きい
- 動作音が大きい
- 動きが目でわかるので修理しやすい
- 機能が単純なので設計が簡単
トランジスターを使ったコントローラー
トランジスターを使ったコントローラーやコンピューターはリレーの次に良く使われていましたが、近年ではマイクロコンピューターに置き換えられ、やはりモーターなどを最終的にオンオフするくらいしか使われません。トランジスターの特徴は次の通りです。
- 価格が安い
- 小型軽量
- 消費電力が少ない
- 速度が比較的早い
- 寿命が半永久的で故障が少ない
- 作動音がしない
- 発熱量が少ない
- 動きが見た目でわからない(修理にはテスターなどが必要)
ICを使ったコントローラー
IC(集積回路)を使ったコントローラーは、1980年代にトランジスターに置き換えが急速に進み、現在使われているマイクロコンピューターと構造的には同じものなので、現在でもICが使われているといえるが、この時代のICは、「汎用デジタルIC」と呼ばれるICを組み合わせてリレー回路のように使われていたので、機能を変えるには作り直さなければならないかわりにソフトウェア(プログラム)は不要で電子回路の知識があれば手軽に使えました。ICの特徴は次の通りです。
- トランジスターを組み合わせて使うより値段が安い
- トランジスターを組み合わせて使うより更に小型軽量
- トランジスターを組み合わせて使うより動作速度が速い
- 寿命が半永久的で故障が少ない
- 消費電力が極めて少ない
- 小さくなって組立しにくい
マイクロコンピューター(マイコン)を使ったコントローラー
1980年代後半からマイクロコンピューター(マイコン)を使ったコントローラーが一気に増えてきました。マイクロコンピューターはプログラムを変えるだけで改良や機能追加が可能になったり、大量生産が楽になったり、制御回路の共通化が可能になってコスト削減や在庫の削減に貢献しました。
しかし、プログラムを作らないと動かないため、アセンブリ言語やC言語などのプログラム作るための知識がないと使えなくなりました。マイクロコンピューターを使ったコントローラーの特徴は次の通りです。
- 非常に安価
- 大量生産が楽
- 超小型超軽量
- 超低消費電力(のものもある)
- 寿命が半永久的
- 故障した際の安全性が高い
- プログラムを作らないと動かない(ソフトウェアの知識が必要)
プログラム・ロジック・コントローラー(PLC)シーケンサーを使った例
マイクロコンピューターを使ったコントローラーでは、ソフトウェアを作るためのアセンブリ言語やC言語などの知識が不可欠でしたが、プログラマーや電子技術者ならともかく、メカトロニクス技術者や電気技術者には簡単に使えるようなものではありませんでした。
そこで、メーカーがマイクロコンピューターとプログラムをあらかじめ内蔵して、リレー回路のように簡単に使えるコントローラーを発売しました。
それがプログラム・ロジック・コントローラー(PLC)、プログラム・コントローラー、シーケンサーなどと呼ばれるコントローラーです。
このコントローラーは、電気技術者や機械技術者でも割と簡単に使えるため、メカトロニクス機器のコントローラーといえば、数値制御(NC)や人工知能(AI)などを除いて、ほとんどがこのPLCを使うようになりました。
ただ、割と大きいのと価格が高いので、家電製品や持ち運ぶ電子機器、おもちゃなどにはマイクロコンピューターが使われます。プログラム・ロジック・コントローラーの特徴は次の通りです。
- 割と簡単に使える
- 割と大きくて少し重い
- 値段が高い(数万円~数十万円)
- 故障しにくい(リレー出力のものを除く)
- 高価なプログラム作成用ソフトウェアが必要なものが多い
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