アクチュエータ(actuator)とは、actuate(作動させる)+er(もの)で、エネルギーまたは電気信号を実際の物理的な動力に変換するものです。もっとも多く使われるものはモーターあるいは電磁石(ソレノイド)で、圧電素子やヒーターを含む場合があります。
これらのアクチュエータはマイクロ・コンピューターあるいはシーケンサー、メーカーによってはプログラム・ロジック・コントローラー (PLC)と呼ばれる制御装置でコントロールされ、近年では自動制御を実現するアイテムとして多く利用されています。
DCモーター
上の写真はアクチュエーターとして一番多く利用される「モーター」または日本語で「電動機」と呼ばれるもので、自動車、ロボット、産業用機械などにつかわれています。
電磁石(ソレノイド)
上の写真はアクチュエーターとしてモーターの次に多く使われるソレノイド(電磁石)で、電流をコイル(電磁石)に流して発生する磁力で磁性体(鉄)でできたアーマチュア(左側の丸い鉄心)を引き付けて直線運動に変換するものです。
電流の強さで引っ張るパワーを変えられなくもありませんが、あまり細かい動きはできず、電磁ロックの解除や洗濯機の水を出したり止めたりする電磁バルブ(電磁弁)や、昔コンピューターで使われていた「フロッピーディスクドライブ」で磁気ヘッドをディスクに接触させたり離したりするのに使われたり、次の写真のソレノイドバルブ(電磁弁)として、空気圧をオン/オフするのに使われています。
フロッピーディスクドライブでわかるように作動時に「カチカチ」とか「ガチャガチャ」とか「バシンバシン」と音がしたり、振動が大きかったりしますが、停電すると自力で維持できずに、洗濯機で水が出たままになるなどの問題を起こさない利点があります。
お化け屋敷などでシューと空気を噴き出して驚かせたり、エアーモーターと呼ばれる空気圧で回転するアクチュエーターにも使われます。
エアーシリンダー
ソレノイドバルブ(電磁弁)でコントロールされた圧縮空気を出し入れすることにより直線運動するアクチュエーターです。
空気圧で動くので「注射器」の管をふさいだ状態のように柔らかく動くのが特徴で、壊れやすいものをつかむ「マニピュレーター」などとしてロボットに使われたり、食品関係の製造機械などに使われる。
あとで説明する「油圧シリンダー」のような大きなパワーは出せませんが、オイル漏れなどを起こすと大変なことになる油圧と違い、たとえ漏れても「空気」なので食品や人体に与える害がほとんどないのも利点です。
また、下の写真のようなスピードコントローラーで空気を絞ることによりスピードやパワーをその場で簡単に調整できるため、実験装置や現場で調整を必要とする食品関係の機械に向いています。
欠点としては、圧縮空気を作るための「コンプレッサー」と呼ばれる大きな装置が必要だったり、空気中に含まれる水分でソレノイドバルブやシリンダー内部が錆びたりするのを防ぐためのフィルターや、エアーシリンダーをスムーズに動かし続けるために油を圧縮空気と共に送り出す、「ドライヤー」、「レギュレーター」、「ルブリケーター」などの機器が必要でお金がかかるのと、コンプレッサーの作動音や排気音がするなどの問題があります。
油圧シリンダー
残念ながら写真はないのですが、パワーショベルカーなどの建設機械や油圧式エレベーターなどに使われています。大きなパワーを出せるのが特長ですが、動作速度が遅めで、油圧ポンプや油圧ソレノイドバルブなどの大型で高価な装置が必要で、最近は油圧式エレベーターは姿を消しつつあります。
我が家のマンションの油圧式エレベーターも2018年にモーターを使ったロープ式に付け替えたところ、動きが目に見えて早くなりました。
ステッピングモーター(パルスモーター)
複数個の電磁石(コイル)に順番に電流を印加することによって回転するモーターです。DCモーターやACモーターと違い、負荷によって故障することが少ないため、また、磁力だけで回転しているため無理な負荷が加わると空回りするため、安全性も高く、プリンターのヘッドを左右に動かしたり、紙送りをしたり、エアコンなどの吹き出し口の風の向きを変えたり(ルーバー)するのに使われていて、子供が手を突っ込んでもケガしにくいなどの特長を持っています。
また、回転角度がパルス数に比例するため、簡単な回路で位置決めできるなど、マイコンとの相性の良いアクチュエーターです。
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