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電線と配線

プログラムロジックコントローラーの配線

 ほとんどの機械では、コントローラーにプログラムロジックコントローラーを使うにしても、マイコンを使うにしても電気配線が必要です。

 これらの電気配線は、電線と端子台やコネクターなどの端子を使って配線されることがほとんどで、自動車や大量生産される装置では、配線を一体化して楽にした「ワイヤーハーネス」を下請けに作ってもらって配線することもあります。

 おそらくこのホームページを見ておられる方は、それほど大きな会社の技術者ではないでしょうし、ここではシンプルな電線を使って配線する方法について解説します。

電線とは?

 電線とは、電気を流すための線材で、一番多く使われるのは「ビニール電線」などの銅を電気を通さない「絶縁材」でカバーして、ショートや感電などの事故を防ぐもので、こうした電線を被覆(ひふく)電線と呼びます。

 まれに被覆のない裸線(はだかせん)が使われることもあります。裸線はショートしたり感電したりする危険もありますが、値段が安く、直接はんだ付けして多くの回路に分配したりできるので、操作盤(コントロールパネル)の裏側や試作に使われるユニバーサル基板の配線に使われたりします。

電線の性能

 基本的に電線は流す電流で太さが決まり、電圧で被覆の厚さが決まり、耐熱温度で被覆の材質が決まります。

  • 太さ(電流で決まる)
  • 被覆の厚さ(電圧で決まる)
  • 被覆の材質(耐熱温度で決まる)

電線の種類

 また、電線は曲げやすさや複数の電線をまとめたケーブル、電気を流す芯線が単一の単線、芯線が複数の撚線(よりせん)などの種類があり、使い道によっても違います。

電線の種類についての詳しい説明はdenshikan.comへ

配線

 電線を使って電気を配ったり信号を伝えたりすることを「配線」といいます。電気を送る電線を「送電線」と呼んだり、信号を送る電線を「信号線」あるいは「伝送線」と呼ぶこともあり、「電話線」などは「通信線」と呼ばれます。

 いずれにしても、電線を回路に接続するためには、はんだ付け、ねじ止め、圧着、圧接などの方法で金属と金属を接続しなければなりません。

  • はんだ付け
  • ねじ止め
  • 圧着(あっちゃく)
  • 圧接(あっせつ)
  • 圧入(あつにゅう)

はんだ付け

 はんだ付けは、はんだごてではんだを溶かし、合金を作って電気を通す方法で、はんだごてなどの初期投資はいくらか必要ですが、あとはあまりお金がかからず熟練すれば信頼性も高い接続方法です。

 しかし、やり直しが困難だったり、はんだ付けの際の熱により電線の被覆が溶けたり、熱により電子部品が壊れたりすることもありますし、確実に付けるためにはかなりの熟練が必要です。

ねじ止め

ねじ止め配線の例

 ねじ止め配線は、ドライバーやワイヤーストリッパーなどの工具があれば可能で、それほど熟練も必要とせず、付け外しも容易ですが、ねじ止めが不十分だったりすると発熱や発火の恐れがあり、基本的に工場などではねじ止めのトルクを厳密に決められる「トルクドライバー」が使われます。

 トルクドライバーは、一定以上の回転力(トルク)が加わると空回りするドライバーで、トルクドライバーが空回りするまでネジを締めれば、一定トルクで締め付けられますので、発熱や発火の危険も少なく、締め付け過ぎによるネジや部品の破損も少なくなります。

圧着

 圧着配線は、電線に圧着端子を「圧着工具」で潰して接続し、それをねじ止めする配線方法で、電線の芯線がバラバラになってショートしたり被覆部分をねじ止めして電気が通らなかったりすることがなく、非常に信頼性が高いので、メカトロニクス機器で一般的に使われる配線方法です。

圧着端子の例

 もちろん付け外しも容易で、圧着端子の穴の大きさを変えることにより、別の場所に配線してしまう「誤配線」もある程度防ぐことができます。

圧接

圧接の例(フラットケーブルIDCコネクター)

 圧接による配線も、圧着と同じようにはんだ付けほど熟練を必要とせず、熱も加えないために信頼性が高く、パソコンや携帯電話の内部などでも良く使われる配線方法です。

 しかし基本的にやり直しはできず、失敗すると多くの材料が無駄になりますが、複数の配線を一度にできることもあり、便利な配線を方法です。

圧入

電線を差し込むだけで接続できる圧入コンセントの例

 圧入配線は、専用の端子台に電線をワイヤーストリッパーで被覆をむいて芯線を露出させ、それを差し込むだけで配線できる方法で、エアコンの室内機と室外機を接続する配線は、圧入(差し込み配線)に限って「電気工事士」の資格がなくても許されています。

 この制度が認められたのは、ある超大手流通がエアコンの工事を無資格の業者に発注していたことが判明し、救済措置として認められた経緯があるのですが、このことについては詳しくは触れません。

コネクター

コネクターの例(日本圧着端子製造XHコネクター)

 コネクターは電線と電線や電線と基板を接続する部品の総称で、これを使うと簡単に接続できたり、修理交換の際に外せたり、ものによっては間違えて違う場所に配線したりできないくふうや、反対向きに差し込めない、一括して複数の電線を接続できる、防水処理できるなどの特徴があり、非常に多くの種類があります。

コネクターを付ける方法

コネクターの種類についてはこちらのdenshikan.comへ

マイクロコンピュータとC言語

 マイクロコンピューター(マイコン)のプログラムは、当初はコンピューターごとの二進数の命令(バイナリーコード)で作っていました。

 バイナリーコードはマシン語または機械語ともいわれ、二進数なので人間との相性は最悪で、しかもコンピューターが変わるとゼロから作り直さないとなりません。

 しかも、コンピューターの命令は種類が少なく、4ビットの足し算、4ビットの引き算、+1する、-1する、ゼロで分岐、マイナスで分岐、ビットシフト(1ビット左にずらす=2倍になる、1ビット右にずらす=半分になる)、AND、OR、NOT程度しかなく、掛け算や割り算をするだけでも数十個の命令を組み合わせないと実現できないなど非常に面倒でした。

 そして苦労して作ったプログラムはコンピューターが変わると使えず、また作り直さなくてはならず、他人が作ったプログラムに手を加えたりするのは困難に困難を重ねていました。

 そこで、コンピューターで良く使う計算などの機能を簡単に数式で表すことのできる人間に理解しやすい「高級言語」として、FORTRAN(FORmular Translation=数式変換)や会計処理や伝票の作成などに適したCOBOL(COmputer Business Oriented Language=コンピュータービジネス属性言語)などが考え出され、利用されてきました。

ベーシック言語

 しかし、FORTRANやCOBOLなどの高級言語は、覚えないといけないことや書き方の制約が多く、使いこなせるようになるまで何年もかかります。

 そこで、学生などの学習用や素人でも使えるようなベーシック(BASIC)言語が考え出され、教育機関などで使われていました。ちなみにBASICはBeginner’s All-purpose Symbolic Instrucation Code=初心者向け汎用命令符号の略だと言われていますが、こじつけのようです。

 このベーシック言語は、覚えるのが簡単で、プログラムも短くて済むうえに、コンピューターが変わっても基本的にそのまま動くなど、非常に優れたプログラム言語で、かの有名なコンピューターの天才であるビル・ゲイツ氏がパソコンで使えるように作ったのが有名になり、現在のマイクロソフトにつながる歴史的な言語です。

 しかし、当時のベーシック言語は「インタープリター」と呼ばれる1行ごとにプログラムを解読して処理する方式をとっていたため、非常に処理速度が遅く、ゲームなどのソフトウェア(プログラム)は、依然としてバイナリーコードで作られていました。

 その後、パソコンのメモリーの増加や処理速度などの性能の向上もあり、プログラムを一括してバイナリーコードに変換して実行する「コンパイラー」と呼ばれる処理方式も生み出されましたが、もともとミニコンピューターやパソコンを想定しているため、更に小型のマイクロコンピューターでは実行できず、マイコンのプログラムは依然としてバイナリーコードを略号に置き換え、変数などに二進数ではなくアルファベットの名前を使えたり、十進法で書けたりする「アセンブリ言語」が使われていました。

 ちなみにアセンブリ言語で書かれたプログラムをバイナリーコードに変換するソフトウェアと「アセンブラー」と呼びますが、アセンブラーで変換する前のアセンブリ言語のプログラムをアセンブラーと呼ぶ人もいますので注意が必要です。

 アセンブリ言語は、コンピューターの命令を略号(たとえばMOV,ADD,JMPなど)に置き換えただけなので、相変わらず他のコンピューターでは使うことができない「機種依存」なため、バイナリーコードの二進数または16進数を直接作るよりは「マシ」と言われていました。

C言語の登場

 C言語は、アメリカ最大手の電話会社であるAT&Tが電話交換機のマイコンのプログラムを作るためのプログラム言語として、○○大学と共同で開発したと言われていて、メモリーが少なくて処理速度の遅いマイクロコンピューターでも動くように考え出されたものですので、マイコンとの相性も良く、バイナリーコードには劣りますがベーシック言語よりはずっと高速で動き、命令後もシンプルで、独特のクセはありますが、マイコンにある+1するインクリメントや-1するデクリメントなどの命令を効率よく使えるように++や–などの計算するための演算子(えんざんし)を備えているなど、アセンブリ言語で苦労していたマイコンのプログラム作成を新天地に導いた画期的なプログラム言語で、電話交換機用でありながら、基本的な部分では機種依存せず、UNIX(Linuxの元になったワークステーションなどの基本ソフト)の標準プログラム言語として採用され、のちにUnix自体もC言語で作り直されたこともあって、どのコンピューターでも使えるプログラム言語として広がりました。

C言語での機種依存

 このように、マイコンのプログラムを作るのに非常に適したC言語ですが、当初はバイナリーコードに変換するソフトウェアが有料であったことや、開発に使えるコンピューターがUnixの基本ソフトで動かなければならないなどど制約が多く、とても趣味で使えるようなものではありませんでした。

 しかし、LinuxやGCC(Gnu C Comipler)などの無料で使うことができ、しかも自分で手を加えて改良したり改造したりできる「オープンソース」の基本ソフトやコンパイラーが出現したことから、GCCなどは色々なコンピューターで使えるように移植され、改造も自由で、商用利用も可能なことから、どのメーカーのマイコンもC言語でプログラムを作ることができるようになりました。

 たとえばオープンソースのマイコンであるArduinoなども中身はGCCを使っていたりして、互換性も十分ですし、不具合があったときなども世界中の誰かがボランティアで直してくれたりするので非常に便利になりました。

 もっとも、マイコンの場合はマイコンによって入出力の数やメモリーのサイズ、バイナリーコードも違いますし、付加機能も違いますので、基本的な部分はC言語ですが、機種依存する部分は「関数」によって実現されていたり、Arduino用の開発ソフトのArduino IDEがGCCに適合するように勝手にプログラムを編集してくれるので、本物のC言語よりも更に簡単にプログラムを作ることができるようになりました。

 ただし、前述したように、マイコンは機種による違いがありますので、他のマイコンではそのまま動かず、移植などの作業が必要になります。

 また、Arduino IDEなどではArduino独自の機能は日本語で使えるのですが、プログラムのミスなどを指摘してくれるコンパイルエラーはGCCそのままの英語で表示されますので、やっぱり英語力は必要です。

Arduinoマイコンについて知りたい方はdenshikan.comへ

Arduino公式ホームページarduino.ccへ

安全設計について

 大型機械やパワーの大きい機械、人が乗る機械では安全設計が最重要です。こうした機械での人身事故は重大な結果をもたらし、人間を不幸にする可能性を秘めています。

 そこで、事故を未然に防止する安全設計について、ここでは簡単に解説します。

事故防止

 機械装置そのものを事故が起きないように設計するものです。とくにパワーの大きな機械では事故が重大事故になる可能性が高くなりますので注意が必要です。

  • 機械の作動領域に入れないようにする
  • 人が作動領域に入ったら停止するようにする
  • 人が作動領域に入るのを防止する
  • 人が作動領域に入ろうとすると警告する
  • 非常停止ボタンを多く設置する
  • 故障しても安全側に働くようにする(フェールセーフ)
  • 感電事故や火災防止に漏電ブレーカーを付ける
  • 火災防止にヒューズや温度ヒューズやサーモスタットを付ける

作動領域に入れないようにする

 もっとも安全なのは作動領域に入れないようにすることです。電車のホームドアのように作動領域を柵やカバーで囲い、カギや暗証番号などで簡単に開かないようにする方法です。

作動領域に入ったら停止する

 レーザー光などを利用したセンサーや人が乗ると作動するセンサーマットなどを利用して、作動領域に人や物があったら停止するような方法です。しかし、こうしたセンサーも完ぺきではありませんので、複数のセンサーを取り付け、プログラムによらず物理的に或いは電気的にモーターなどを停止できるようにする必要があります。

作動領域に入ろうとすると警告する

 作動領域に入る前に警告する機能を追加すれば更に安全性は高まります。人感センサーやレーザー光センサーなどを使って作動領域の周囲の広い範囲を警戒し、近づいたら警告音や音声で警告するようにします。

非常停止ボタンを多く付ける

 非常停止ボタンは多くの機械に備わっていますが、機械の規模や危険性にもよりますが、非常停止ボタンを押さないでも停止するのが理想です。

 非常停止ボタンを設置する場合でも、人間の手が届く範囲にないと意味はありませんし、左利きの人もいますので両側に設置したり、装置の裏側にも設置したりする必要があります。

インターロックを付ける

リミットスイッチの例

 インターロックとは、機械の扉を開けたり、中に人や物があると停止する機能です。そのままですと調整や修理のときに困りますので、キースイッチなどを作動させると一定範囲の自動停止を解除するように設計します。

 ただし、熟練の技術者でも「うっかりミス」は起こりますので、その場合でも警告は鳴るようにしておくとか、インターロックの解除レベルを設けて、より危険な部分のインターロック解除は別のキースイッチによるとか、物理的に動かないようにしないとインターロックを解除できないようにします。

漏電ブレーカーを付ける

漏電ブレーカーの例

 漏電ブレーカーは、電線や部品の劣化や水没などによる絶縁不良で起きる漏電を検出して遮断するものです。また、規定の電流値をオーバーした際に作動する通常のブレーカーの機能も備えているものが多いです。

 ただし、漏電ブレーカーはアースに電気が漏れる「地絡」しか検出できませんので、電気を使う機械は、しっかりとアースに接続して、感電する可能性のある部分には簡単には外せないカバーを付けるとか、開けると自動的に電気が遮断されるようにしておく必要があります。

火災の予防

 電気火災の原因のほとんどは電線や部品の接続不良や電線の劣化による絶縁不良や水没による漏電、ホコリが湿気を吸って起きるトラッキング、センサーやプログラムの不具合による過熱などが原因で起こります。

 これらの危険を少しでも減らすには、ヒューズや温度ヒューズなどを各所に付けると一定の効果があります。

ヒューズなどの過電流や過熱からの保護をする部品の例

 ただし、ヒューズや温度ヒューズは溶断してしまうと交換の必要がありますので、モーターなどの過負荷によって過電流が流れたり発熱したりする場合は、ブレーカーやサーモスタットなどの温度スイッチと併用するのが望ましいです。

 ブレーカーやサーモスタットなども故障して作動しない場合もありますので、ヒューズや温度ヒューズを併用し、どちらかが故障したり作動しなかった場合でも安全側に働く「フェールセーフ」を心がけてなければなりません。

乗り物の場合

 人が乗るエレベーターや電車など、乗り物の場合は更なる対策が必要です。直接危害を及ぼさなくても、長時間閉じ込められたり、急停止したりすることにより、転倒してケガをしたり、具合が悪くなったり、酸欠になったりすることもありますので、非常通報装置や衝動防止、非常扉や停電時でも最悪の状態にならないようにするための非常用バッテリーや自動着床装置、非常用ドアコックなどの設置が必要です。

 ただし、これらの安全装置も、ただ付ければ良いというわけではなく、定期的な点検や交換、誤報の対策、いたずら対策などを講じておかないと、機能を停止していたり故障していたりで作動しなかったなどの問題がないようにしないとなりません。

安全対策を誰が考えるか?

 安全対策には幅広い分野の知識や経験が必要です。また、深読みする能力が低いと、「こうしたらこうなる」という予測が難しく、新入社員などにこうした対策を考えさせるのは非常に危険です。

自動制御とリレー回路

古いプログラムロジックコントローラーの写真
古いプログラムロジックコントローラー

 自動制御とは、センサーなどを使って、人間の五感に相当するセンシングをし、人間の脳に相当するコントローラーで状況を判断し、モーターや電磁石などを人間の代わりに自動的に制御するものです。

自動制御とエレベーター

 古くは、自動制御はエレベーターに多く利用されてきました。1970年代ころまではデパートなどのエレベーターには、エレベーターを運転する「エレベーターガール」または「エレベーターボーイ」が乗っていて、行き先階を告げると、それを暗記して、安全を確認してエレベーターの扉を閉め、制御レバーでモーターを動かし、指定の階の床にビッタリと止めて安全を確認し、その階の簡単な案内をして扉を開けていました。

 その後、人件費の削減やエレベーターガールへのハラスメントの多発で、次第に手動運転は姿を消し、エレベーターのレール(三方枠)に取り付けたリミットスイッチなどのセンサーと電磁石でスイッチを切り替える「リレー」を使った制御回路による自動運転が行われるようになりました。

 当時は、そうしたエレベーターを「自動エレベーター」と呼んでいましたが、近年ではエレベーターは自動が当たり前になったため、単なる「エレベーター」と呼ばれるようになりました。

 それ以前にもリレーを使った電子計算機とかは存在していましたが、エレベーターの普及により、リレーによる制御回路は一般的になり、他の機械などでも使われるようになりました。

リレーからトランジスタへ

トランジスターの写真
トランジスター

 リレーによる制御回路は、電磁石によるスイッチ切り替えを戻すためのバネや金属接点の酸化(さびること)や摩耗などにより寿命が短く、リレーによりますが10万回ていどの寿命があり、毎日10時間以上も使われているようなものだと半年ほどで寿命になり、目的階に到着しなかったり、途中階に停止したり、ドアが開かなかったりなどのいわゆる「閉じ込め」が発生し、社会問題となりました。

 当時は電話回線による自動通報装置とかもなく、非常呼び出しボタンを押すと管理人室などでベルが鳴るのですが、デパートなどの商業施設やオフィスなどではともかく、夜間に管理人の居ないマンションなどでは長時間の閉じ込めが発生して大変なことになりました。

定期点検

 そこで、法律でエレベーターなどの建築設備は定期的に点検することが義務付けられ、リレーなどの寿命の短い部品は寿命の半分程度の期間ごとに予防的に交換するようになりました。

突発故障

 それでも予期しない突発故障や偶発故障は発生し、エレベーターの制御回路は当時普及を始めたトランジスターを使った電子回路に置き換えられました。

半永久的寿命

 トランジスターは、ゲルマニウム(当時)やシリコン(近年)などの固体の元素に不純物を混ぜて溶かして、ゆっくり引き上げて冷やしながら固めた固体で、金属のケースに入れられ、可動部分もなく、酸化による劣化も防げることから寿命は半永久的と言われ、故障をきわめて少なくすることができるようになりました。

 実際には、トランジスターのケースとリード線の隙間から湿気が入り、故障したりするのですが、それでも数十年は故障することなく使えますので、半永久的と言っても良いでしょう。

トランジスターから集積回路(IC)へ

ICの写真
ICの例

 その後、アメリカの月ロケット計画の「アポロ計画」によって開発されたトランジスターを使った電子回路を小さく軽く作る「集積回路」が発展し、制御回路を小さく安く作れるようになり、エレベーター以外の機械にもどんどん使われるようになりました。

集積回路(IC)からマイコンへ

マイクロコンピューターの写真
マイクロコンピューターの例

 集積回路は小さくて軽くて安く大量生産できるのですが、ちょっとした変更や機能追加でも最初から設計をやり直して作らなければならないため、2年程度の期間を要するものでした。

電卓の普及

 折しも、1970年代後半になると、「電子式卓上計算機」いわゆる「電卓」が普及しはじめ、「電卓戦争」と言えるほどの生産競争が起きました。

 しかし、初期の電卓はトランジスターや出始めの集積回路を使って作られていたため、機能を追加するたびに集積回路の設計から始めなければならず、これでは勝負にならないと感じた日本のベンチャー企業が、当時は大型だったコンピューターを集積回路で小型で安く大量に作れないかと考え、開発を始めて集積回路を作ってくれるメーカーを探したところ、電卓用の集積回路で儲かっていた半導体メーカーはことごとく、その依頼を断ってしまったのです。

マイコンの誕生

 ところが、アメリカに渡ったベンチャー企業の経営者は、当時最高峰の半導体メーカーから独立して半導体メモリーを主製品として勝負しようとしてた同じベンチャー企業の半導体メーカーと共同開発することで合意を取り付けたのです。

インテル

 そのアメリカのベンチャー企業こそ、現在パソコンのCPUメーカーとしてトップを走る「インテル」の前身でした。残念ながら日本のベンチャー企業は倒産してしまいましたが、現在でも日本の半導体メーカーに多大な功績を残しています。

マイクロコンピュータ

 こうして誕生したマイコンは、正式には「マイクロコンピュータ」と呼ばれ、メモリーを外付けにするものを「マイクロプロセッサー」、コントローラーに適した改良をしたものを「マイクロコントローラー」と呼び、基本的には同じようなものなのですが、多くの呼び方があり、混乱の元になっています。

プログラムロジックコントローラ

プログラムロジックコントローラーの写真
プログラムロジックコントローラー

 ところで、マイコンは動かすプログラム(ソフトウェア)を作るのに、当初は機械語(またはバイナリーコード)と呼ばれる二進数の命令や命令の略号を使ったプログラムを開発しなければならず、近年でもC言語と呼ばれる英語をベースにした難解なプログラム言語を覚え、それを組み合わせてプログラムを作らなければならないなど、普通の機械技術者にとって、とっても大変なものでした。

 そこで、機械技術者にリレー回路の開発手法で手軽に自動制御が可能なプログラムをマイコン内部に最初から入れておき、リレー回路を使うように簡単な操作で使える「シーケンサー」や「プログラムコントローラー」とも呼ばれる制御装置が開発され、近年ではほとんどの機械にコントローラーとして使われています。

プログラムロジックコントローラの欠点

 プログラムロジックコントローラは簡単に使えるのは良いのですが、誰でも買え、割と簡単に使えるため、画期的な機械を開発しても、制御にプログラムロジックコントローラを使っていると、簡単に真似されてしまうどいう大きな欠点があります。

  • 簡単に真似される
  • お金がかかる
  • 数値計算が得意でない
  • 無駄な処理が多く高速処理に向かない
  • メーカーごとの互換性がなく簡単に乗り換えられない

 また、機械を売る度にプログラムロジックコントローラのメーカーから数万円から数十万円もの装置を買い、納期などでメーカーの言いなりになるしかなく、他社への乗り換えも困難など、とっても立場の弱いものです。

マイコンを使った自動制御

マイクロコンピューター各種の写真
マイクロコンピューターを使った自動制御

 そこで、一部の特殊な機械では、マイコンを使ったり、数値制御を必要とする機械ではNCコントローラー」などの数値制御を得意とするコントローラーを使います。

マイコンを使う例

  • 大量生産する場合
  • 企業秘密を守りたい場合
  • 小さく軽く安くしたい場合

 ただし、マイコンを使うことの欠点も多くあります。利点の裏返しですが、次のようなことです。

  • 幅広い知識が必要(簡単に使えない)
  • 安っぽく見えてしまう(儲からない)
  • 使うのが面倒(周辺回路を作らないとならない)

 マイコンそのものは数十円から数千円で買えてしまいますので、マイコンを制御回路に使った製品は、プログラムロジックコントローラを使った制御回路より見劣りがすることがあります。

 しかし、ほとんどのマイコンは書き込んだプログラムを外部から読み出したり書き換えたりすることを不可能にする「コードプロテクト機能」を備えていますので、企業秘密が漏れたり、コピーされたりすることは極めて少なくなります。

 簡単に開発できないプログラムや回路なども、日本には専業にする多くの「ソフトウェアハウス」や「システムハウス」があり、リーズナブルな費用で外注することも可能ですが、外注した場合、情報漏洩や外注先が廃業したり倒産したりするリスクもありますので、理想的には社内で複数の技術者を育て、分担して開発するのが理想です。

 ただし、外注するにしても採用するにしても、その能力はピンキリで、採用面接や外注先選びは容易ではありません。

ブロック図の描き方

ブロック図の例(破線は説明なので実際には書かない)

ブロック図とは、装置や回路の構成を簡単に表した図です。機能ブロックまたは回路ブロックごとに長方形で名称を囲み、それを信号や処理の流れに沿って線で結んだもので、信号や処理の流れの方向を表すために矢印を付ける場合も多くあります。

 ブロック図は、それを見ただけで、どのような機能や回路が必要かが理解でき、回路設計あるいはシステム設計が可能なように設計の最初の段階で描いたり、説明するときに簡潔に表したりするのに使われます。

 とくにマイクロコンピューターを使った制御回路などでは、どの入出力ピンに、どのセンサーやアクチュエーターが接続されているか、電源がどこから供給されているかが重要で、それにより部品を選んだり、プログラムを作ったりします。

 ブロックは基本的に長方形で描き、JISで図記号が決められているものは図記号を使って書きます。モジュールやICなどはJISでも長方形で描くので、長方形の中にブロックの名称や型番を描きます。

 破線の部分は説明書きですので実際には書きませんが、信号名は必須としてもピン番号は必須ではありませんが、書いておいたほうが親切です。ピン番号があれば、チェックの時にいちいち別の資料を見る必要がありません。

電圧・電流・抵抗とオームの法則

 電気工学にとって重要な単位は、つぎの3つとパワーを表す「ワット(W)」です。

電圧

直流電圧計の例

 電圧とは、電気の圧力、つまり電気を流す能力の高さを表し、単位は「ボルタの電池」の発明者の名前から取った「ボルト」で、人の名前なので大文字でVと書きます。

電流

直流電流計の例

 電流とは電子が移動する速さで、単位は「電流の磁気作用」を発見したフランス人の「アンペール」を英語読みした「アンペア」で、これも人の名前なので大文字でAと書きます。

抵抗

 抵抗とは、電流を邪魔する能力の高さを表す単位で、「電圧と電流の関係」を最初に発表したドイツ人の「オーム」を使います。人の名前の頭文字をとるとOですが、数字のゼロと間違えやすいので、ギリシャ文字の大文字のΩを使います。

オームの法則

 電圧と電流と抵抗には関係があることを最初に発表したのがドイツ人の「オーム」で、電流と抵抗を掛け算すると電圧になる、あるいは電圧を抵抗で割り算すると電流を計算できる、あるいは電圧を電流で割り算すると抵抗を計算できるという法則です。

 この3つの式は数学的に同じで、中学校の数学である「方程式」の知識があれば3つを覚える必要はありません。

電気と電子

 電気と電子の違いって難しいですよね。電流は電子の移動ですが、電気は電子の移動の量によってもたらされる電荷が持つエネルギーって、もっとわかりにくいですよね?

 一般的に電気が持つエネルギーを利用するのが「電気工学」で、電気が持つ性質を利用するのが「電子工学」といわれています。

電気のエネルギーを利用するもの

LEDシーリングライトの例(照明器具)
掃除機の例(電気を動力に変える)
  • 電球やLED照明(電気を光エネルギーに変える)
  • 電気ストーブ(電気を熱エネルギーに変える)
  • 扇風機や掃除機や洗濯機(電気を運動エネルギーに変える)

電気の性質を利用するもの

電気の性質を利用して離れたところに書類を送るファクシミリの例
  • 電話や有線放送(電気の性質を利用して有線で音声を送る)
  • ラジオやテレビ(電気の性質を利用して無線で音声や映像を送る)
  • コンピューター(電気の性質を利用して計算したり判断したりする)

電子機器でも最終的には電気のエネルギーを利用する

パソコンなどの電子機器も最後はエネルギーを利用する(光、音、振動)

 電話や有線放送、ラジオやテレビ、携帯電話、コンピューターなどの電子機器でも最終的には電気のエネルギーを利用して空気を振動させて音に変えたり、ディスプレイなどで電気のエネルギーを利用して光に変えたりして利用します。

 これは、人間の体は電気のままでは感じることが基本的にできないからです。もちろん、人間の体に電気を感じることは不可能ではありません。でも私は電気を感じたくありません。なぜなら、それは「感電」だからです。

 逆に低周波治療器は筋肉を感電させることによって収縮させ、筋肉の凝りを治したりしますが、ある程度の危険を伴いますので、医療機器としての承認が必要になります。

 電子レンジなどでは、電気が持つエネルギーを周波数の高い電磁波に変換することにより、食品内部の水素原子を振動させて熱に変えますので、間接的には電気のエネルギーを利用しているのですが、周波数の高い電磁波を作るときに電子部品を使うため「電子レンジ」と呼ばれます。

 電子レンジに金属を含んだ食器や食品を入れると放電して火花が出たり燃えたりしますので非常に危険で、これこそが強い電磁波の証拠です。

メカトロニクス学習手順

 メカトロニクスの学習は次の手順で学ぶと良いと思います。これが必ずしも正しいとは言いませんが。

ブロック図の書き方

電源と電池について

 メカトロニクス機器を動かすためには電源が必要です。電源は普通はコンセントから電気を取る「商用電源」を使いますが、コンセントのない場所で使う機器や持ち歩く機器では電池(バッテリー)が使われます。

商用電源

商用電源(日本ではコンセント、海外ではアウトレット)

 日本では、コンセントの電気は100ボルトまたは200ボルトでプラスとマイナスが富士川と糸魚川より東は1秒間に50回入れ替わる50ヘルツの交流が、西では1秒間に60回入れ替わる60ヘルツの交流が電力会社から販売されています。

 商用電源に交流を使う理由は、変圧器(トランス)を使えば電圧を自在に上げたり下げたりできるため、同じ電力(電圧×電流)でも電圧を上げれば電流は下がるため、送電線や電柱の電線の電気抵抗による発熱損失(パワーロス)が少なくなり、結果的に発電所を遠くに設けたり、送電線の太さを細くしたりできるからです。

超小型トランスの例(トランジスター回路用アウトプットトランス)

 発明王エジソンが最初に発明した電球により、電灯は実用的なものになり、発電所が必要になりました。しかし、エジソンが普及させようとした発電機は直流発電機で、電気の需要が多い大都市に小さな発電所を多く作らなければならず、非常に効率が悪いものでした。

 しかし、エジソンの部下だったテスラは交流発電機を提唱し、結果的にエジソンが提唱した直流発電機でなく、テスラが提唱した交流発電機が普及する下剋上となりました。ここは本題から外れるのでこのくらいにしておきます。

 ところで、日本では東京電灯と関西電灯が別々の国から発電機を輸入したため、50ヘルツ[Hz]と60ヘルツ{Hz]の2種類の周波数の商用電源が広まってしまいました。

 そのため、同じモーターでも関東と関西では回転速度(1分間あたりの回転数)が違ってしまい、掃除機では関西の方が吸引力が強いものの音がうるさく寿命が短かったり、洗濯機では関西の方が早く綺麗になるものの衣類の傷みが激しかったり、扇風機では関西の方が風が強かったりと、まあこの程度なら良いのですが、レコードの音楽や歌声が早回しになったり、エスカレーターが速くなって事故が増えたりするので、関西と関東ではモーターを交換するか歯車やベルトを交換するかしないとなりません。

周波数で回転数が変わる交流誘導モーターの例

 コンセントから電気を取る利点は、電池と比べて単価が安いことと、大きな電力(パワー)を得られることです。逆にコードが邪魔だったり、外では使えなかったりしますが、重くて大きい機械は持ち運ぶことは引っ越し以外では有り得ないため、あまり問題にはなりません。

 モータの場合はこれで良いのですが、基本的に交流モーターの回転速度は周波数とモーターの極数で決まってしまい、簡単に変えることができません。ベルトコンベアの速度を変えたい場合や電車などでは非常に困ります。エアコンなどでも回転速度を変えられないと常に最大能力で音もうるさいですし電気代もかさみます。

 それから、ラジオやテレビやステレオやコンピューターなどの電子回路では、基本的に直流の電源が必要になりますので、交流を直流に変換して使う必要があります。

 直流モーターは電流の向きを回転角度によって変えなければ回りませんので、電流の向きを変えるための金属ブラシと金属整流子が必要になり、金属どうしが摩耗しますので、定期的に交換する必要があります。

 そこで、まず交流を直流に変換し、電子回路の働きで直流を再び任意の周波数に変換してブラシのない交流モーターを動かす方式がブラシレスモーターで、回転速度を変えやすく、長寿妙なDCブラシレスモーターあるいはACインバーターモーターが増えてきました。

商用電源で電子回路を動かす

コンセントの電源を低電圧の直流に変換するACアダプターの例

 電子回路を動かすためには、先ほども説明したように直流電源が必要ですので、交流を直流に変換する必要があります。しかし、そのままではコンセントの電圧は100ボルトありますので、普通の電子回路は一瞬にして壊れます。

 そこで、変圧器を使って100ボルトの交流を12ボルトとか6ボルトとかに電圧を下げ、それから整流して使いますが、この時点では、電流の向きが一定になっただけで、電圧は大きくなったりゼロになったりを1秒間に100回ないしは120回繰り返す「脈流」(脈拍のように強くなったり弱くなったりする)ですので、これを電池のように一定の電圧にしてやらないとコンピューターは動きませんし、スピーカーから「ブーン」という「ハム音」が出てしまいますので、コンデンサーなどの一時的に電気を蓄える部品を使って平らにならす「平滑」をします。

 ところが、昔はこのための変圧器とコンデンサーが重くてバカでかくて高価で大変でした。変圧器は鉄の塊にエナメル銅線を大量に巻き付けて紙で絶縁したり、コンデンサーは紙をアルミ箔で挟んで巻いて強アルカリ性の電解液を流し込むという手りゅう弾や花火などと似た構造の部品で、プラスとマイナスを逆接続したり耐電圧をオーバーしたりすると爆発したりすることもある危険な部品です。

 変圧器には、周波数が高くなるとエナメル銅線の巻き数が少なくて良くなるのと、重くて高価な鉄心の代りに軽くて小さくて安価なフェライトコアが使えるようになるという特性があるため、50ヘルツあるいは60ヘルツの交流を直流に変換して、それを周波数の高い交流に変換してからフェライトコアの変圧器で変圧すれば、小型軽量安価でしかも効率の良い直流電源を得ることができます。

スイッチング電源アダプターの例(小型軽量安価)

 そうして作られたのが「スイッチング電源」(日本工業規格ではスイッチ電源と呼びます)で、近年ではパソコンや通信関係の電子機器では一般的になっていて、メカトロニクス機器でもスイッチング電源が使われる場合がほとんどです。

電池について

乾電池

乾電池の例(左から単1、単2、単3、単4)(上:アルカリ、下:マンガン)

 電池といえば最初に思い浮かぶのは「乾電池」です。「ボルタの電池」などの初期の電池は硫酸を水で薄めた「希硫酸」の中に「銅」や「亜鉛」などの金属板を入れて電気を起こしていました。

 希硫酸は水で薄めているとはいえ、温泉の硫黄泉よりも危険で、皮膚にかかれば化学ヤケドを起こしますし、金属にかかれば錆びたりボロボロになったりしますし、電気製品にかかればショートして発火したりします。

 そこで希硫酸や強アルカリなどの「電解液」に石膏やコロイドなどのネバネバと混ぜて電解液がこぼれないようにしたものが乾電池で、わりと安全に取り扱うことができます。

 ただし、いくら乾電池でも使わないで放置したり、使い切ってもそのままにしたりすると「液漏れ」といって乾電池の中の電解液が漏れ出して、電池ボックスの周囲の金属を錆びさせて故障させたり、漏れ出た強アルカリ性の電解液が手について目をこすったりするとすごく痛くて角膜炎を起こして最悪目が見えなくなったりすることもあるので、使い切った乾電池や長時間使わない電子機器などから乾電池を抜いて、念のためビニール袋やプラスチックケースに入れたりして保管する必要があります。

 未使用の乾電池でも長期間保管すると液漏れを起こすことが多いので、近年では乾電池の底や側面に使用期限が書かれているものが多くなりました。

 また、たとえ液漏れを起こさなくても、古くなった乾電池は使える電気の量が減って、使える時間が短くなる「自己放電」を起こしますので、生ものと同じで新しければ新しいほど良いです。

 ただ、乾電池は使い捨てで、貴重な二酸化マンガンなどの鉱物と、亜鉛などの金属が使われていますので、やみくもに古いからといって捨てないでください。

 近年では、使用期限が10年先や5年先の乾電池も売られていますので、非常灯や防災用ラジオなどは、こういった乾電池をいっしょに入れておけば、いざというときに使えなかったなんてことも少なくなると思います。

 ちなみにメカトロニクスとは関係ありませんが、非常用の飲料水なども賞味期限が5年のものなどもありますので、備蓄にお勧めです。

 乾電池には、電気を使える持続時間や、一度に多くの電流を流してモーターやまつげをカールする「ビューラー」などのヒーターを効果的に使えるようにするように作られた「アルカリ乾電池」や、ラジオや懐中電灯のようなパワーを必要としないけども休み休み使えば長持ちする値段の安い「マンガン電池」、その中間の「アルカリ・マンガン電池」などの種類があり、使い道によって選びます。

 ただ、アルカリ乾電池とマンガン乾電池の違いは普通は内部は同じで、プラス極の二酸化マンガンの量やマイナス極の亜鉛の厚さとかなので、アルカリは長持ちして、マンガンは安くてパワーが小さくて休み休み使うと長く使えると思ったほうが良いでしょう。

乾電池の大きさ

 乾電池は大きいほうが使える時間が長く、大きな電流を流せますので大きなパワーが得られます。とはいえ、大きい乾電池は値段も高いので、必要に応じてどのサイズを使うかが決められています。

 日本では乾電池の大きさは大きいほうから単1から単5まであります。「単」というのは「単位電池」のことで、昔は真空管など高い電圧が必要だったので、乾電池もそれにあわせて複数の電池を直列に組み合わせて作った「積層電池」または「複合電池」があったのですが、今では一部のラジオやラジコンの送信機などに複数の電池を直列に積み上げた「006P」などの「9ボルト」の電池も使われますが、基本的に「単」が使われます。

 ただし、単1から単5という呼びかたをしているのは日本だけで、世界では別の呼びかたがあります。

 近年は充電できる電池を充電池あるいは蓄電池と呼ぶこともありますが、日本語化した時の事情がそのまま反映されたりしていて、やはり世界で通用する技術者になるためには英語力が欠かせないと痛感します。

 電池は基本的に直流電源として使えますが、電力あたりの単価が高く、充電できる電池でも充電が面倒だったり、停電すると充電できなかったりしますので、基本的には持ち歩くもの、あるいは電池交換の頻度が少なくて済むものに使うのが普通です。

1次電池(充電できない使い捨ての電池)

ボタン電池の例(アルカリ・ボタン電池)
  • 乾電池
  • 水銀電池(販売禁止)
  • 酸化銀電池
  • リチウム電池
  • 空気電池
リチウム電池の例(コイン型リチウム電池)

 まことに不経済ですが、充電できない電池は低価格で手に入りやすいため、電池交換の頻度が少なくて済む機器に使われます。当たり前ですが充電する必要がない(爆発の恐れがありますので絶対に充電しないでください)ため、買ってすぐ使えるのが利点です。

 もっとも最近のニッケル水素電池は充電を保った状態で売られていますので、すぐに使えますが電圧が普通の乾電池の1.5ボルトに対して1.2ボルトしかないため、機器によっては動かなかったり、故障の原因になることもあります。

充電池

2次電池(充電して再利用できる電池)

各種バッテリー(左から鉛蓄電池、NiCd電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池)

 まったく日本という国は、1次だの2次だの意味のわからない言葉を使いたがる変な文化で、これもひとえに日本語による教育と軍国主義をもたらした福沢○○のせいで色々と大変なことになっていますが、ここはとりあえずメカトロニクスのホームページなので置いておくとして、使い捨ての乾電池や酸化銀電池やリチウム電池などは、使うと電極や電解液が溶たりガスになって失われたりするので、使い捨てになります。

  • 鉛蓄電池
  • ニッケルカドミウム電池(ニカド電池)
  • ニッケル水素電池
  • リチウムイオン電池
  • リチウムポリマー電池

 充電して再利用できる電池は経済効果は高いのですが、充電器が必要だったり電池の単価も高いので、初期投資が必要になりますが、ものにより100回~1000回程度再利用できるので1回あたりのコストは安くなります。

 とは言っても、初期のニッカド電池などでは充電して放置したり、使い切らずに継ぎ足し充電したりすると繰り返し寿命が極端に短くなり、私が買った充電式の掃除機やドリルなどは最悪1回で使い物にならなくなったりしたので、数か月が使用期限の使い捨てみたいなものでした。

自己放電しにくいニッケル水素電池の例(エネループ)

 さすがに近年のニッケル水素電池(エネループなど)は、放置しても2年程度は容量の半分以上をキープしていたり、使い切らずに継ぎ足し充電してもそんなに悪くならないものも多くなりました。

充電できて自己放電しにくいリチウムイオン電池と充電器の例

 また、携帯電話やスマホや最近のコードレス機器に使われているリチウムイオン電池やリチウムポリマー電池は、基本的に継ぎ足し充電しても「メモリー効果」と呼ばれる充電を開始した時点の容量を記憶し、1時間使えるはずのものが30分しか使えなかったり、数秒しか使えなくなったりすることは、ほとんどなくなりました。

 ただ、現在でも安い充電式のシェーバーなどはニッケル水素電池を使っていてメモリー効果で数秒しか髭剃りができないシェーバーになったりするので注意が必要です。

普通のニッケル水素電池

 メカトロニクス機器で充電可能な電池を使う機会は少ないと思いますが、全然ないとは言い切れないのと、今や生活に欠かすことのできないコードレス機器を選ぶためにも知っておいて損はありません。

直流と交流と周波数

交流を作る低周波発振器の例

 電気とは、電気の流れすなわち電流なり。あとでわかったことなのですが、電流とは電子が移動する現象で、最初に決めた電流の向きは電子が移動する向きとは逆でした。

 そのため、電流はプラスからマイナスに流れ、電子はマイナスからプラスに移動するという逆転現象が起き、電気工学や電子工学をわかりにくくしています。

 まあ、それは置いといて、電流には、流れる方向がずっと変わらない直流と、流れる方向がしょっちゅう変わる交流があり、直流を英語でDirect Current(略してDC)、交流を英語でAlternative Current(略してAC)と呼びます。

 そして、電池で発生する電流は直流、本来の発電機で発生する電流が交流です。それから、交流の電流の向き(極性)が1秒間に何回変わるかが周波数で、周波数の単位は電磁気作用を解明したドイツ人の名前を取った「ヘルツ」が使われます。単位記号は[Hz]です。

 交流は変圧器(トランス)により電圧を上げたり下げたりすることができ、電圧を上げると送電での損失が少なくでき、電線も細くて済むため、電力会社が売っている電気は基本的に交流です。

 ただ、高い電圧のまま家庭に配電すると、間違えて触った際に感電死してしまいますので、何とか普通は死なない程度の電圧である100ボルトから220ボルト程度の電圧に下げて家庭や小さな工場に届けます。

 大きな工場では、敷地面積が広くて電力損失が大きくなったり、電線を太くしないとならなかったり大変なので、6600ボルトなとの高圧で配電されたりします。

 基本的に電柱の上の電線は6600ボルトあるいは3300ボルトで、電柱に登って感電すれば生命の危険があります。

周波数について

 周波数とは、交流の極性が1秒間に何回変わるかを表したもので、大昔はサイクル(アメリカではCycle per Second:CPS)などと呼ばれていましたが、現在ではヘルツ[Hz]に統一されています。

 交流は周波数により性質が変わり、一般的に周波数が高いほどエネルギー密度が高くなります。また交流をコイルに流すと電磁波となり、モーターなどの動力として利用したり、更に高い周波数になると電波として遠くまで届いたりします。

 もっと周波数が高くなると電子レンジのように食品を短時間で加熱したり、赤外線となって暖房に使ったり、更に周波数が高くなると光となり、人間の目にも見えるようになり、地球や生物を温めたり、更に周波数が高くなると紫外線やX線となり遺伝子を傷つけて皮膚がんになったり、人体を透視できたり、更に周波数が高くなるとガン細胞を直接破壊する放射線治療に使ったりします。

 電磁波は周波数が高いほど直進性が増し、低いほど回り込みます。周波数の低いAM放送は山の裏側にも届くのに対して、周波数の高いFM放送やテレビ放送は山の裏では届かなくなり、更に周波数の高い携帯電話の電波などではビル影ですら電波は届かなくなります。

 更に周波数の高いBS放送やCS放送では大雨が降っただけで電波が届かなくなったり、更に周波数の高いレーダー波では島や船や飛行機どころか雨粒にも電波が反射して雨雲レーダーとして使えたりします。

 直流は極性が永久に変わらないので周波数はありませんが、数秒間や数時間で極性が変わる「超低周波」などでは一見して直流と区別がつかないことがあります。この場合の周波数は0.1Hzとか0.0001ヘルツとか小数点以下になったりします。

総務省 電波利用ホームページ