相撲ロボットもどきを制御するための回路基板を製作する手順について解説します。というか写真集です。















相撲ロボットもどきを制御するための回路基板を製作する手順について解説します。というか写真集です。
相撲ロボットもどきを制御するための回路基板を製作する手順について解説します。というか写真集です。
メカトロニクス機器における電気配線の方法について解説します。
近年の機械では電気を使うのが普通で、電気配線を習得する必要があります。配線方法には、次のような方法があります。
はんだ付け配線は、信頼性が高く、費用が安く済みますが、高温加熱による劣化や熟練を必要とするなどの欠点もあり、修正や変更が困難なため、おもにプリント基板の配線や操作スイッチ類の配線に使われます。
ねじ止め配線は、電線の被覆(ひふく)を剥いて(むいて)ねじ止めにより固定して配線する方法です。修正や変更が容易で、見た目も整然としていて信頼性も高いのですが、端子台や端子台付き部品などが不可欠で、費用が高く、大きくなりがちなので、おもに分電盤(ぶんでんばん)や制御盤(せいぎょばん)などに使われます。
圧着端子配線は、配線を修正したり変更したりしても電線が傷みにくいのと、電線の芯線の飛び出しなどによる隣との短絡(たんらく=ショート)や接続不良が起こりにくいため、制御盤などのメカトロニクス機器で、もっとも多く使われる配線方法です。
しかし、工具にドライバーの他に高価な圧着工具が必要で、圧着端子もネジの直径や電線の太さなどにより様々な種類を用意しなくてはならず、電子工作程度の配線では費用も手間もかかりますが、メカトロニクスの制御盤などでは信頼性が非常に高く、修理や改造も容易なため、基本的に圧着配線をしておけば間違いありません。
フラットケーブルやコネクターを使って配線する場合は、おもに圧接配線が行われます。複数ある配線をコネクターにしておけば、容易に部品やプリント基板を交換でき、現場での修理や変更が短時間でできます。
しかし、圧着端子配線よりも更に高価な工具を必要としたり、熟練度が足りないと接触不良による動作不良を起こしたりするため、配線の本数が少ない場合は使わないほうが良いでしょう。
以前は電話交換機と電話ケーブルを接続する際や試作品の配線に使われていましたが、デジタル交換機の普及で配線を変更しなくても電話番号を変えられるようになり、試作の際にも部品の小型化によりラッピング配線が非常に困難になってしまい、ラッピング配線部品も次々と入手が困難になったため、近年ではほとんど使われなくなりました。
圧着端子による配線はメカトロニクス機器で一番多く使われる配線方法です。修理や改造が簡単で、はんだ付け配線と違って修正による劣化も非常に少なく、信頼性も非常に高い優れた方法です。 反面、高価な工具を必要とするとか、ネジ … “圧着端子による配線” の続きを読む
圧着端子による配線はメカトロニクス機器で一番多く使われる配線方法です。修理や改造が簡単で、はんだ付け配線と違って修正による劣化も非常に少なく、信頼性も非常に高い優れた方法です。
反面、高価な工具を必要とするとか、ネジの直径や電線の直径、絶縁スリーブの有無や色など、非常に多くの圧着端子が必要になりますので、電子工作程度の配線には向きません。
圧着端子による配線の注意点は次のようなものです。
電線には、耐電圧、許容電流、耐熱温度などがあり、耐電圧が足りないと漏電による感電や火災の原因になり、許容電流をオーバーすると発熱や発火の恐れがあり、耐熱温度が足りないとショートや絶縁不良による感電や火災の原因になりますので、それぞれ適切な電線を選ぶ必要があります。
電線の選び方
圧着端子には、簡単には取り外しができないO型と簡単に取り外しできるY型があり、電圧が高いとか安全回路とか、間違えて簡単に外されては困る配線にはO型圧着端子を、信号線などの入れ替えが多く、間違えて外しても感電したりショートして壊れたりする危険性のないところにはY型圧着端子を使うと作業効率が上がります。
また、圧着端子には絶縁スリーブの有無による分類で、ドライバーなどでショートした場合に感電や故障などの事故につながる危険な配線には絶縁スリーブ付きを、ショートしても故障につながらないプログラム・ロジック・コントローラーの入力端子などは絶縁スリーブなしの圧着端子を使い、信号名を印刷した絶縁チューブを被せるのが間違いを減らし、修理点検をしやすくするために効果的です。
圧着端子のリングの内径は、圧着する電線の太さごとに違うものが必要です。また、圧着する際に使う圧着工具の溝も圧着する電線の太さの溝を正しく使う必要があります。
圧着工具は、安価な簡易型と高価なものがあり、安価なものですと圧着が不十分になりやすいので、ラチェット付きの圧着が完了するまで圧着端子が外れない圧着工具を使うのが理想的です。
太い電線を使わない場合や、高電圧や大電流で使う圧着をせず、あまり使わない場合はカーショップやホームセンターなどで千円前後で売られている簡易型でも良いでしょう。
電線に圧着端子を圧着するには、まず電線を圧着端子のスリーブリングの長さよりも少し長めに剥き(むき)、撚線(よりせん)の場合は芯線がバラバラになって導通不良で火災の原因になったり、隣とショートしたりしないように芯線を時計回りにねじってから圧着端子のリングスリーブに通し、ビニール被覆を根元まで差し込んで芯線の先端がリングスリーブから少しはみ出すように、リングスリーブの中央をリングスリーブ側から圧着工具の適合する溝で挟んで圧着工具を強く握り圧着します。
1本の端子台にねじ止め可能な圧着端子の数は2本までです。1本のときはリングスリーブを上にしてねじ止めします。2本のときは圧着端子を背中合わせにして膨らまないようにねじ止めします。
3本以上の圧着端子を接続したい場合は、中継の端子台を経由して、2本ずつ次々と数珠繋ぎ(じゅずつなぎ)します。
メカトロニクス技術百科(センサー,コントローラー,アクチュエーター,ソフトウェア)について解説します。
メカトロニクスは、「メカニカル」と「エレクトロニクス」を合成した和製英語で、直訳すれば、「機械の電子化」になります。メカトロニクスは「センサ」、「コントローラー」、「アクチュエータ」の3要素で構成されます。
近年では、コントローラーにマイクロコンピューターが使われることが多く、メカトロニクスを習得するには「電子技術」や「ソフトウェア」の知識が欠かせません。
電子技術はdenshikan.com
進級おめでとうございます。これから1年間にわたって、皆さんには制御回路実習を学んでいただきます。しばらくの間、オンライン実習になりますが、気を落とさずに頑張ってください。 制御回路実習の内容 まず、制御回路実習の内容 … “制御回路実習(1)” の続きを読む
進級おめでとうございます。これから1年間にわたって、皆さんには制御回路実習を学んでいただきます。しばらくの間、オンライン実習になりますが、気を落とさずに頑張ってください。
まず、制御回路実習の内容ですが、ロボットや自動機械を動かすために必要なメカトロニクス技術の中で、特に「制御回路」について、実習を通して学んで行きます。
ロボットや自動機械の制御回路は、「マイクロコンピューター」や「プログラム・ロジック・コントローラー」と呼ばれる制御装置が多く使われています。
マイクロコンピューターは略して「マイコン」とも呼ばれ、安いものでは百円程度、高いものでは10万円程度します。処理が速く、小型軽量で、大量生産に向きますが、プログラムを作るのが難しく、大量生産する家電製品や、高性能な制御装置を必要とするロボットや、安く作らないといけない「おもちゃ」などに使われます。また、マイクロコンピューター単体では使えず、マイクロコンピューターを中心とした回路を組まなくてはなりません。
マイクロコンピューターを制御装置として使えるようにする回路は、試作品などでは「ユニバーサル基板」と呼ばれる材料と電子部品を使って、自分でハンダ付けして作ります。
また、量産時には、「プリント基板」と呼ばれる、銅箔であらかじめ配線された基板に「自動ハンダ付け装置」などを使って電子部品をハンダ付けして組み立てます。
マイクロコンピューターを使った制御回路の開発は、一般的に次のような手順で行われます。
かっこ付きの手順は、「電子機器」の知識と技術が必要なため、機械技術者が直接実施することは少ないです。
プログラム・ロジック・コントローラーを使った制御回路の開発はマイクロコンピューターよりもずっと簡単です。プログラム・ロジック・コントローラーにはマイクロコンピューターが使われているのですが、プリント基板の実装や内部の配線は既に済んでいます。
そこで、プログラム・ロジック・コントローラーを使って機械の制御装置を作る手順は次のようになります。
これで、プログラム・ロジック・コントローラーを使った制御装置は開発できてしまいます。しかも、プログラム・ロジック・コントローラーのプログラム開発はマイクロコンピューターのプログラム開発よりも、ずっと簡単に作ることができます。
マイクロコンピューターのプログラムは近年ではC言語と呼ばれるプログラムの書き方の決まりを守って作ります。そのプログラムを本格的に作れるようになるには、コンピューター専門学校などに2年ほど通って、やっとできるようになります。ただし、C言語プログラムを本格的に作れれば、パソコンやスマートフォンのアプリなども作れますし、少し勉強すればGoogleが提供しているようなサービスを自分で始めることもできます。
プログラム・ロジック・コントローラーのプログラムはマイクロコンピューターのプログラムよりもずっと簡単で、パソコンソフトで4つほどのアイコンをクリックして数字を入力し、線で結ぶだけです。
このようにプログラム・ロジック・コントローラー(PLC)は簡単に使えるため、正確に調査したわけではありませんが、ロボットや自動機械の90%以上はプログラム・ロジック・コントローラーが使われていると思います。
制御回路は、このようにマイクロコンピューター(マイコン)またはPLCを使って実現できますが、実際に制御回路を作れるようになるためには、他にも知っておかないといけない知識や技術があります。
制御回路実習では、次のような制御回路を作れるようになるために必要な知識と技術を実習(しばらくは出来ないかも知れませんが)を通して身に付けていただく予定です。
ArduinoマイコンとDCギヤードモーター2個、モーターハブ2個、ラジコン用タイヤ2個、ボールキャスター2個、フォトリフレクタを4個使って相撲ロボットを作りました。 測距センサ2個で、相手との距離や位置関係を判断し … “Arduinoマイコンで相撲ロボットを作る” の続きを読む
ArduinoマイコンとDCギヤードモーター2個、モーターハブ2個、ラジコン用タイヤ2個、ボールキャスター2個、フォトリフレクタを4個使って相撲ロボットを作りました。
測距センサ2個で、相手との距離や位置関係を判断し、DCギヤードモーターをコントロールして戦います。
まだプログラムが未完成なため、戦うことはできていませんが、とりあえず壁を避けて走ります。
制御回路には、Arduino nanoマイコン、3端子レギュレータ、モータードライバー2個、土俵を割らないようにするためのフォトリフレクタの感度調整用の半固定抵抗4個で構成されています。
Arduino nanoマイコンボードは、ICチップの付いた基板にピンヘッダが付いており、ユニバーサル基板を使った回路基板にICのように載せられる便利なマイコンボードですが、設計が古いため左側のUSBコネクターがMini USBになっていますが、USBケーブルだけでパソコンと接続してプログラムを書き込むことができます。
このArduinoを中心に、他の必要部品を配置して配線した基板が上の写真です。ArduinoのUSBコネクターはプログラムの書き換えが基板に取り付けたまま可能なように、基板の外周に配置し、コネクターをふさぐように部品を配置してはいけません。
バッテリーを接続する電源コネクター(左下)は、その右側の3端子レギュレータによって12ボルトから5ボルトに下げられ、Arduinoマイコンの5V端子とフォトリフレクタ(白いコネクター(3ピン)に供給します。バッテリーのマイナス端子は、3端子レギュレータのGND、そしてArduinoのGNDに接続します。そのため、これらの回路はArduinoの5VとGNDの近くに配置します。
フォトリフレクタを接続する白い3ピンのコネクターと、土俵の白線を検出する感度調整用の半固定抵抗は、それぞれArduinoのA0~A3に接続しますので、その近くに配置します。
モータードライバーICは、ArduinoのD2~D5に接続しますので、その近くに配置し、2個のモーターを接続する右下の茶色のコネクターは、モータードライバーICの近くに配置します。
ArduinoのD0とD1は、パソコンとの通信に使って、プログラムを書き込んだり、データをパソコンに表示したりするのに使いますので、ここには何も接続しません。もしここにモータードライバーICとモーターを接続すれば、プログラムを書き込むたびにロボットがランダムに動いて暴れることになるはずです。
このように、回路から部品配置と配線を考えるときに、その部品が配置されるべき位置を慎重に考えてから固定すれば、配線が短く簡単になり、交差しないのでプリント基板を設計するときにも楽になります。ユニバーサル基板で組み立てるばあいは、あまり配線が短すぎるのも配線しにくいのですが、配線が交差しないようにしておけば、抵抗のリードを切った余りなどで直接接続できますので、作業効率からも見た目からもお勧めです。
Arduinoマイコンのプログラム(ソフトウェア)を開発するためのパソコンソフトはarduino.ccから無料でダウンロードでき(できれば寄付してください)、簡単に使えます。
このような点からも、学生の学習用や趣味などで使うにもArduinoマイコンは適しています。
ラジコン用サーボモーターは1個500円程度から1,000円程度で購入でき、マイコンを使えば制御も簡単なので、おもちゃのロボットアームを作るのに適しています。 おもちゃと書いたのは、精密な動作はできずロボットとしての実 … “ラジコン用サーボモーターでロボットアームを作る” の続きを読む
ラジコン用サーボモーターは1個500円程度から1,000円程度で購入でき、マイコンを使えば制御も簡単なので、おもちゃのロボットアームを作るのに適しています。
おもちゃと書いたのは、精密な動作はできずロボットとしての実用性はないからです。また、無理矢理関節を曲げたり物にぶつかったりすると簡単に壊れます。
でも、学習用や子供を喜ばせる程度には使えるため、「おもちゃ」と書いてます。
このロボットアームは、ラジコン用サーボモーターを2個と、物にぶつかったりしても壊れないステッピング・モーターを2個併用することにより、安全性を少しだけ高めたもので、400円ほどで買えるArduinoマイコン互換機で制御し、プログラムで時間と角度の指定で自動的に動かすこともできますが、ここではプログラムを簡単にするためと、学生や子供(同じようなレベルです)が喜ぶので、可変抵抗によりそれぞれの軸の角度を手動で設定して動かせるようにしました。
また、ロボットアームのメカは、上の写真のように「アルミ・アングル」と市販の「アルミ・ケース」を使ったものや、下の2枚の写真のように、中国製のロボットアーム金具(確か2,500円程度だったと思います)を使ったものや、タミヤ模型のプラ板を切って削って使ったものなど、学生によって色々なものが出来上がりました。
回路は、Arduinoマイコンに「エボルタ充電池」などのニッケル水素電池4本を電源とし、D2~D5までにラジコン用サーボモーターをつないだだけの簡単なものです。
そして、可変抵抗の3本ある端子の両側に5VとGNDをつなぎ、可変抵抗の中央の端子をArduinoマイコンのA0~A4につないだだけです。
もちろんラジコン用サーボモーターの電源は直列4本のニッケル水素電池から供給します。
プログラムは、Arduino開発用のソフトウェアであるArduino IDEのスケッチ例servoのknobを4回コピペして数字の0~4を付けただけのものです。
最初に書いたように、まるで実用にはなりませんが、消しゴムをつかんで別の場所に置く程度のことはできますので、時間と5千円程度の小遣いがあったら、ぜひ作ってみてください。
メカトロニクス機器の調整や修理に欠かせない測定器の「テスター」の使い方について説明します。 テスターは、大きく分けて「アナログ式」と「デジタル式」があります。それぞれ利点と欠点があります。 アナログ式テスター アナ … “テスターの使い方” の続きを読む
メカトロニクス機器の調整や修理に欠かせない測定器の「テスター」の使い方について説明します。
テスターは、大きく分けて「アナログ式」と「デジタル式」があります。それぞれ利点と欠点があります。
アナログ式テスターにはメーターが付いていて、メーターには複数の目盛りがあり、目盛りを間違えると正しい測定ができません。一番困るのはケタを間違えやすいことです。
デジタル式テスターは電圧や抵抗などが数値で表示されるので読み間違いが少なく、機種によってはダイヤルの切り替えが、「電圧」「電流」「抵抗」しかないものもあり、操作が簡単で、レンジの間違えで壊れにくい。
なので、電流レンジで電圧を測定したり、抵抗レンジで電流を測定したりするとテスターが壊れるか内部のヒューズが切れます。
メカトロニクス機器とは メカトロニクス機器は、一部では電子制御機器と呼ばれることもあります。広い意味でのロボットもメカトロニクス機器に含まれます。 メカトロニクス機器では、一般的にセンサからの信号をマイコンやプログラ … “メカトロニクス機器とは?” の続きを読む
メカトロニクス機器は、一部では電子制御機器と呼ばれることもあります。広い意味でのロボットもメカトロニクス機器に含まれます。
メカトロニクス機器では、一般的にセンサからの信号をマイコンやプログラムコントローラで処理してモータや電磁石(ソレノイド)や空圧機器などのアクチュエータを制御して自動化または遠隔操作します。
町中に多数ある自動販売機もメカトロニクス機器の一種です。また、エレベータや生産ライン設備も基本的にはメカトロニクス機器です。
近年ではマイコンは小型化が進み性能も格段に向上しています。
左から1980年代、1990年代、2000年代のマイコン
2010年代のArduinoMEGAマイコン基板
マイコンを利用して簡単にリレー回路の置き換えが出来るように作られた装置です。
一般的にラダー図と呼ばれるリレー回路を模した回路をパソコンソフトで編集してケーブル等を利用してプログラミングを書き込みます。書き込んだ後は基本的にパソコンは必要ありません。
ユニバーサル基板を使った組立 メカトロニクスで電子基板を自作できると便利ですよね? また電子工作などで組立キットに飽きてしまって、回路基板を自作したい人にも読んでいただきたい内容です。 前回、部品の固定、グラウンドの … “はじめての電子回路組立(2)” の続きを読む
メカトロニクスで電子基板を自作できると便利ですよね? また電子工作などで組立キットに飽きてしまって、回路基板を自作したい人にも読んでいただきたい内容です。
前回、部品の固定、グラウンドの配線、電源の配線まで説明しましたが、今回は「その他の信号線の配線」について説明します。
ユニバーサル基板を使った信号の配線には、「ジュンフロン線」を使うと楽だと説明しましたが、なければ「ラッピング線」でも何とかなります。
グラウンドと電源の配線、そしてジュンフロン線の準備はできましたか? それでは信号線の配線をして試作基板を完成させましょう。
回路基板の配線の基本は最短距離ですが、最短距離を気にしすぎると、配線が難しくなったり、失敗したときに電線が無駄になったり、断線しやすくなったりしますので、妥協が必要です。
なぜ最短距離かと言いますと、電気が電線を流れる速度は光の速度と言われています。そのため配線が長いと電気が到達するのに時間がかかり、正常に動作しなくなったりするためです。
ただし、これは衛星中継やコンピューターのように周波数が非常に高い場合の話で、メカトロニクスや電子工作では、そんなに気にしなくて大丈夫です。
そこで実際には、次の写真のように電線に余裕を持たせて配線します。
上の写真では、左側は「直角配線」、右側は「なだらか配線」になります。
技術者には、上の写真の左側のように「直角配線」すべきだと言う人が多いです。たしかに見た目は美しく、整然として確認しやすいです。ただし、角が引っかかって断線しやすかったり、作業に時間がかかります。
それに対し、私は上の写真右側のような「なだらか配線」をすることが多いです。その背景には配線の長さが数センチ違うだけで正常に動作しない「スーパーコンピューター」や「超高速回路」の配線をした経験からの習慣と、断線のしにくさ、試作段階での時間の短縮のためです。
また、「なだらか配線」ですと、接続する場所を間違えたり変更したりしたくなっても、そのままハンダごてだけで配線を変えられます。
特にマイコンを使った配線では、後で配線(ポート)を変える必要がある場合が多く、「直角配線」だと、そのたびに高価なジュンフロン線が無駄になり、時間もかかります。
試作の最大の目的は、設計した回路が正常に動作するかを少しでも早く確認することです。そこで、その場合は「なだらか配線」をしたほうが、試作の目的に合っています。
しかし、試作品がそのまま販売されたり使われたりする場合は見た目の問題から「直角配線」をお勧めします。
私の場合、「直角配線」を希望されるお客さんのには、3倍の手間賃と3倍の時間を要求します。
もっとも、手配線の基板をそのまま製品に使うのは、信頼性の問題や、もしヒットして大量に作らなければならない場合などに困るため、基本的にはお勧めしていません。プロの仕事とは、そういうものです。
プリント基板(プリント配線板)の場合は、動作していた回路の配線が断線することはほとんどありませんし、見た目もユニバーサル基板を使った手配線よりも格段に美しいです。
さて、話を戻して、実際にユニバーサル基板を使った配線をする方法を説明します。
まずラッピング線(ジュンフロン線)の先端を2mm程度むきます。この長さはユニバーサル基板の銅箔(ランド)の直径とだいたい同じです。
ランドの直径よりも長くむいてしまうと、隣のピン(部品の足)とショートしたり、ランドからはみ出してショートしたり断線したりしやすくなります。
ラッピング線(ジュンフロン線)をむくには「ワイヤー・ストリッパー」と呼ばれる工具が必要です。
ワイヤー・ストリッパーは、芯線の太さに適した溝を使う必要があります。ほとんどの場合、芯線の直径あるいはAWGナンバーと呼ばれるアメリカの規格の数字が刻印されていますので、その値を芯線の太さに合わせて先端2mmほどを溝から出して、握って電線の長いほうを真っ直ぐに引っ張ります。
溝を間違ると芯線に傷が付いて断線しやすくなったり、被覆(ひふく)が斜めになったりして見た目が悪いばかりでなく、ショートしやすくなったりしますので注意が必要です。
むいた芯線を部品の足とランドの両方にしっかりとハンダ付けします。両方にしっかり付けないと引っ張ったり振動で取れます。
ワイヤー・ストリッパーの刃の奥はたいてい線を切れるようになっていますので、そこを使えば持ち替えずに切れます。ただし、配線の長さが短い場合は届きませんので、ニッパーを使って測った長さに切ります。「直角配線」の場合は、直角に1回だけ曲げて届く長さに切ります。
直角配線で2回曲げると線がブラブラして断線しやすくなりますし、見た目も悪く、長さを見極めるのも難しくなりますので、曲げは1回までです。
ちなみに隣のピンや2つ先のピンに被覆線(ひふくせん)で配線するのは時計職人か米粒に字を書ける人でないと無理なので抵抗やコンデンサなどのリード線を切った残りをハンダ付けします。
そのため、抵抗やコンデンサの足の余りは捨てずにとっておきましょう。
ちなみに私は左利きなので持ち手が逆です。写真に撮るとわかりにくいですが、教えるときは向かい側からになるので、非常にわかりやすいです。スポーツのインストラクターが逆向きに動いて教えてくれるのと同じです。もしかしてインストラクターに向いてる?