月別アーカイブ: 2020年2月

センサーの種類と特徴

 ロボットや自動機械を実現する「メカトロニクス」で、人間の五感に相当するものが「センサー」です。センサには目的に応じて各種のものがあって、自動車や家電製品などにも多く使われています。

リミットスイッチ(マイクロスイッチ)

 単純なセンサーで、作動するとオンまたはオフになるものです。比較的寿命が短く、作動音も聞こえますが、動作確認がしやすいのと機械的に作動するので故障はあっても誤作動の可能性は低いです。このような特長から非常用の安全センサーとしても使われています。

リミットスイッチ(マイクロスイッチ):単純なセンサーで対象物によって色々な種類がある

光電センサー

 半導体などの光の強さを電流に変換する素子を使ったセンサーで寿命が長く作動音がせず非接触で対象物を傷つけたり妨害したりせず動作速度が速いです。

光電センサーの画像です
光電センサー:光の透過や反射などで対象物を検知します

磁気近接センサー

 磁気の変化で金属などの対象物を検知します。光電センサーと違って汚れに強く、プラスチック板などで隠しても作動します。簡単に言えば小型の金属探知機でポケットに入れた小銭などにも反応します。また、道路の下に埋めて駐車場の精算機を作動させたり、速度取り締まりに使ったりします。

磁気近接センサーの写真です
磁気近接センサー:磁力の変化で対象物を非接触で検知します

圧力センサー

 電子はかり、エレベーターの定員オーバー、自動ドアの検知マット、体重計などに使われている、重さによる「ひずみ」を検知して作動します。下の写真のものは変化が大きいため、タッチスイッチとしても利用可能です。

圧力センサーの写真です
圧力センサー:圧力(ひずみ)を電気抵抗の変化で検知します

超音波センサー

 人間の耳に聞こえない周波数の高い空気の振動(超音波)を発射して、対象物に反射して戻って来るまでの時間を計測することによって対象物までの距離がわかります。

 車の前後のバンパーや対人ロボットに使われていて、障害物に衝突しないように制御したり注意喚起したりするのに使われます。また、手の届かない天井などまでの距離を測る電子メジャーとしても使われています。

 ただし、超音波が伝搬する速さは気圧や温度によって変わり、補正しないとミリメートル単位の正確な距離はわかりません。

 言わば「電子コウモリ」のようなものです。もっと複雑なものに超音波の反射によりお腹の中を画像で見られる「超音波エコー検査装置」などの応用や魚群探知機などの大掛かりなものもあります。

超音波センサーの写真です
超音波センサー:超音波を発射して対象物に反射して戻って来るまでの時間で距離がわかります

人感センサー(焦電センサー)

 人体や熱を持つ物体が発する赤外線を感知して、人が居るかどうかや、たくさん集めて温度分布を映像で見られる「サーモグラフィー」と基本的な原理は同じです。ヘビなどの変温動物はエサになる哺乳動物が発する赤外線を検知できるので暗闇でも狩りができると言われています。

人感センサーの画像があります
人感センサー(焦電センサー):中央の白い丸型のもの

センサーの動作原理

アクチュエーターとは? (2)

AC(誘導)モーター

 交流で回転するモーターで、大きなパワーのものも作られています。基本的に周波数に比例した速度で回転するため、速度を変えるのは難しく、負荷によって速度が変わったりするので、動力としては優れている反面、とっても制御しにくいモーターです。

 昔はエレベーターやエスカレーターなどにも使われていましたが、バリアフリー化の要請もあって速度を任意に変えられるACサーボモーターに急速に置き換わりつつあります。

 とは言え、安い掃除機や洗濯機などには現在も使われていて、製造販売している重電メーカーも多いです。

ACモーターの画像です
AC誘導モーター(AC Induction Motor):交流を回転力に変える

リニアアクチュエーター

 直線(リニア)運動をするアクチュエーターで中身はモーターです。回転動力を内部の台形ネジとナットで直線運動に変換し、その減速効果で大きなパワーを得られ、下の写真のもので移動距離(ストローク)850mm、最大荷重40kg、最高速度400mm毎秒と思ったより速く動きます。

 これを見た私の教え子は「ガンダム」や「サンダーバード」に登場する発射台(カタパルト)みたいだと言っていました。

 ※危険なので決して乗らないでください。

リニアアクチュエーターの画像です
リニアアクチュエーター:素早く移動距離の長い直線運動ができる

アクチュエーターとは?

 アクチュエータ(actuator)とは、actuate(作動させる)+er(もの)で、エネルギーまたは電気信号を実際の物理的な動力に変換するものです。もっとも多く使われるものはモーターあるいは電磁石(ソレノイド)で、圧電素子やヒーターを含む場合があります。

 これらのアクチュエータはマイクロ・コンピューターあるいはシーケンサー、メーカーによってはプログラム・ロジック・コントローラー (PLC)と呼ばれる制御装置でコントロールされ、近年では自動制御を実現するアイテムとして多く利用されています。

DCモーター

DCギヤードモーター(アクチュエーターの一種):電力を回転運動に変える

 上の写真はアクチュエーターとして一番多く利用される「モーター」または日本語で「電動機」と呼ばれるもので、自動車、ロボット、産業用機械などにつかわれています。

電磁石(ソレノイド)

ソレノイド(電磁石):電力を直線運動に変換する

 上の写真はアクチュエーターとしてモーターの次に多く使われるソレノイド(電磁石)で、電流をコイル(電磁石)に流して発生する磁力で磁性体(鉄)でできたアーマチュア(左側の丸い鉄心)を引き付けて直線運動に変換するものです。

 電流の強さで引っ張るパワーを変えられなくもありませんが、あまり細かい動きはできず、電磁ロックの解除や洗濯機の水を出したり止めたりする電磁バルブ(電磁弁)や、昔コンピューターで使われていた「フロッピーディスクドライブ」で磁気ヘッドをディスクに接触させたり離したりするのに使われたり、次の写真のソレノイドバルブ(電磁弁)として、空気圧をオン/オフするのに使われています。

 フロッピーディスクドライブでわかるように作動時に「カチカチ」とか「ガチャガチャ」とか「バシンバシン」と音がしたり、振動が大きかったりしますが、停電すると自力で維持できずに、洗濯機で水が出たままになるなどの問題を起こさない利点があります。

 お化け屋敷などでシューと空気を噴き出して驚かせたり、エアーモーターと呼ばれる空気圧で回転するアクチュエーターにも使われます。

ソレノイドバルブ(電磁弁):空気圧を出したり止めたりする

エアーシリンダー

 ソレノイドバルブ(電磁弁)でコントロールされた圧縮空気を出し入れすることにより直線運動するアクチュエーターです。

エアーシリンダー:エアー(空気圧)で左側の棒(ロッド)が出たり入ったりする

 空気圧で動くので「注射器」の管をふさいだ状態のように柔らかく動くのが特徴で、壊れやすいものをつかむ「マニピュレーター」などとしてロボットに使われたり、食品関係の製造機械などに使われる。

 あとで説明する「油圧シリンダー」のような大きなパワーは出せませんが、オイル漏れなどを起こすと大変なことになる油圧と違い、たとえ漏れても「空気」なので食品や人体に与える害がほとんどないのも利点です。

 また、下の写真のようなスピードコントローラーで空気を絞ることによりスピードやパワーをその場で簡単に調整できるため、実験装置や現場で調整を必要とする食品関係の機械に向いています。

 欠点としては、圧縮空気を作るための「コンプレッサー」と呼ばれる大きな装置が必要だったり、空気中に含まれる水分でソレノイドバルブやシリンダー内部が錆びたりするのを防ぐためのフィルターや、エアーシリンダーをスムーズに動かし続けるために油を圧縮空気と共に送り出す、「ドライヤー」、「レギュレーター」、「ルブリケーター」などの機器が必要でお金がかかるのと、コンプレッサーの作動音や排気音がするなどの問題があります。

フィルター&ルブリケーター&レギュレーター:圧縮空気を整える
スピードコントローラー:圧縮空気の量を調整する

油圧シリンダー

 残念ながら写真はないのですが、パワーショベルカーなどの建設機械や油圧式エレベーターなどに使われています。大きなパワーを出せるのが特長ですが、動作速度が遅めで、油圧ポンプや油圧ソレノイドバルブなどの大型で高価な装置が必要で、最近は油圧式エレベーターは姿を消しつつあります。

 我が家のマンションの油圧式エレベーターも2018年にモーターを使ったロープ式に付け替えたところ、動きが目に見えて早くなりました。

ステッピングモーター(パルスモーター)

 複数個の電磁石(コイル)に順番に電流を印加することによって回転するモーターです。DCモーターやACモーターと違い、負荷によって故障することが少ないため、また、磁力だけで回転しているため無理な負荷が加わると空回りするため、安全性も高く、プリンターのヘッドを左右に動かしたり、紙送りをしたり、エアコンなどの吹き出し口の風の向きを変えたり(ルーバー)するのに使われていて、子供が手を突っ込んでもケガしにくいなどの特長を持っています。

 また、回転角度がパルス数に比例するため、簡単な回路で位置決めできるなど、マイコンとの相性の良いアクチュエーターです。

ステッピングモーター(大型):安全性が高く回転位置を簡単に制御できる
ステッピングモーター(中型)
ステッピングモーター(中型)

はじめての電子回路組立(2)

ユニバーサル基板を使った組立

ユニバーサル基板を使った電子基板の試作

 メカトロニクスで電子基板を自作できると便利ですよね? また電子工作などで組立キットに飽きてしまって、回路基板を自作したい人にも読んでいただきたい内容です。

 前回、部品の固定、グラウンドの配線、電源の配線まで説明しましたが、今回は「その他の信号線の配線」について説明します。

ユニバーサル基板における信号線の配線

ユニバーサル基板を使った回路基板の配線例(裏面配線)

 ユニバーサル基板を使った信号の配線には、「ジュンフロン線」を使うと楽だと説明しましたが、なければ「ラッピング線」でも何とかなります。

メートル辺り百円前後の高価な「ジュンフロン線」だが配線が楽になる

 グラウンドと電源の配線、そしてジュンフロン線の準備はできましたか? それでは信号線の配線をして試作基板を完成させましょう。

電子基板配線の原則

 回路基板の配線の基本は最短距離ですが、最短距離を気にしすぎると、配線が難しくなったり、失敗したときに電線が無駄になったり、断線しやすくなったりしますので、妥協が必要です。

 なぜ最短距離かと言いますと、電気が電線を流れる速度は光の速度と言われています。そのため配線が長いと電気が到達するのに時間がかかり、正常に動作しなくなったりするためです。

 ただし、これは衛星中継やコンピューターのように周波数が非常に高い場合の話で、メカトロニクスや電子工作では、そんなに気にしなくて大丈夫です。

 そこで実際には、次の写真のように電線に余裕を持たせて配線します。

ユニバーサル基板の配線の例

 上の写真では、左側は「直角配線」、右側は「なだらか配線」になります。

「直角配線」と「なだらか配線」

 技術者には、上の写真の左側のように「直角配線」すべきだと言う人が多いです。たしかに見た目は美しく、整然として確認しやすいです。ただし、角が引っかかって断線しやすかったり、作業に時間がかかります。

 それに対し、私は上の写真右側のような「なだらか配線」をすることが多いです。その背景には配線の長さが数センチ違うだけで正常に動作しない「スーパーコンピューター」や「超高速回路」の配線をした経験からの習慣と、断線のしにくさ、試作段階での時間の短縮のためです。

 また、「なだらか配線」ですと、接続する場所を間違えたり変更したりしたくなっても、そのままハンダごてだけで配線を変えられます。

 特にマイコンを使った配線では、後で配線(ポート)を変える必要がある場合が多く、「直角配線」だと、そのたびに高価なジュンフロン線が無駄になり、時間もかかります。

 試作の最大の目的は、設計した回路が正常に動作するかを少しでも早く確認することです。そこで、その場合は「なだらか配線」をしたほうが、試作の目的に合っています。

 しかし、試作品がそのまま販売されたり使われたりする場合は見た目の問題から「直角配線」をお勧めします。

 私の場合、「直角配線」を希望されるお客さんのには、3倍の手間賃と3倍の時間を要求します。

 もっとも、手配線の基板をそのまま製品に使うのは、信頼性の問題や、もしヒットして大量に作らなければならない場合などに困るため、基本的にはお勧めしていません。プロの仕事とは、そういうものです。

 プリント基板(プリント配線板)の場合は、動作していた回路の配線が断線することはほとんどありませんし、見た目もユニバーサル基板を使った手配線よりも格段に美しいです。

プリント基板(プリント配線板)の例:信頼性と美しさは格段に違う

実際の配線

 さて、話を戻して、実際にユニバーサル基板を使った配線をする方法を説明します。

ラッピング線の端を2mm程度むく

 まずラッピング線(ジュンフロン線)の先端を2mm程度むきます。この長さはユニバーサル基板の銅箔(ランド)の直径とだいたい同じです。

 ランドの直径よりも長くむいてしまうと、隣のピン(部品の足)とショートしたり、ランドからはみ出してショートしたり断線したりしやすくなります。

ユニバーサル基板を使った配線の「悪い例」(芯線の露出が多く信頼性に欠ける)

 ラッピング線(ジュンフロン線)をむくには「ワイヤー・ストリッパー」と呼ばれる工具が必要です。

ワイヤー・ストリッパーの例(芯線の太さにより穴の大きさが違う)

 ワイヤー・ストリッパーは、芯線の太さに適した溝を使う必要があります。ほとんどの場合、芯線の直径あるいはAWGナンバーと呼ばれるアメリカの規格の数字が刻印されていますので、その値を芯線の太さに合わせて先端2mmほどを溝から出して、握って電線の長いほうを真っ直ぐに引っ張ります。

 溝を間違ると芯線に傷が付いて断線しやすくなったり、被覆(ひふく)が斜めになったりして見た目が悪いばかりでなく、ショートしやすくなったりしますので注意が必要です。

むいた電線を部品の足とランド(銅箔)にハンダ付けする

 むいた芯線を部品の足とランドの両方にしっかりとハンダ付けします。両方にしっかり付けないと引っ張ったり振動で取れます。

もう片方の長さを測りニッパーまたはワイヤー・ストリッパーの奥で切る

 ワイヤー・ストリッパーの刃の奥はたいてい線を切れるようになっていますので、そこを使えば持ち替えずに切れます。ただし、配線の長さが短い場合は届きませんので、ニッパーを使って測った長さに切ります。「直角配線」の場合は、直角に1回だけ曲げて届く長さに切ります。

 直角配線で2回曲げると線がブラブラして断線しやすくなりますし、見た目も悪く、長さを見極めるのも難しくなりますので、曲げは1回までです。

 ちなみに隣のピンや2つ先のピンに被覆線(ひふくせん)で配線するのは時計職人か米粒に字を書ける人でないと無理なので抵抗やコンデンサなどのリード線を切った残りをハンダ付けします。

 そのため、抵抗やコンデンサの足の余りは捨てずにとっておきましょう。

切った先端をむいてハンダ付け

ワイヤー・ストリッパーで電線の反対側をむいているところ

 ちなみに私は左利きなので持ち手が逆です。写真に撮るとわかりにくいですが、教えるときは向かい側からになるので、非常にわかりやすいです。スポーツのインストラクターが逆向きに動いて教えてくれるのと同じです。もしかしてインストラクターに向いてる?

はんだ付けの極意はこちら

はじめての電子回路組立

ユニバーサル基板を使った組立

基板組立の例(ステッピングモータ駆動回路)

 電子回路の試作に使われる「ユニバーサル基板」を利用して、上の写真のような制御回路基板を組み立てる例を説明します。

参考:はんだ付けの極意

 まず、電子部品を高さの低い順(熱や静電気に弱い部品は最後)にユニバーサル基板にハンダ付けして固定します。

 そのとき、全部のピン(部品の足)をハンダ付けしてしまうと、向きを間違えたときや浮いてしまったときなどに取り外したり修正したりするのが難しくなります。

 そこで、ピンの数が多い部品の場合は、両端のピンや対角のピンだけをハンダ付けし、残りのピンは放置するか、配線が終わってからハンダ付けします。

 この状態ならば、向きを間違えたり浮いてしまった部品を「ハンダ吸い取り器」やハンダごてを当てて修正できます(下の写真)。

ハンダ吸い取り器によるハンダ付けの修正

 ハンダ吸い取り器は使うのにコツが必要です。なので使わないで済むように注意して部品を固定しましょう。

 ちなみに私が講師をしている専門学校では、ハンダ吸い取り器は2台しか用意していませんが、いつも奪い合いになってます(汗)。

 ハンダ吸い取り器は、ハンダごてを当ててハンダを溶かした次の瞬間、先端の吸い取り口を取りたいハンダに当て、溶かしたハンダが固まらないうちにボタンを押してポンプの作用でハンダを吸い取ります。

 当て方が悪かったり、ボタンを押すのが遅かったりすると、せっかく溶かしたハンダが固まり、失敗します。

 何度も失敗すると、プラスチック部品が溶けたり、熱に弱い部品が壊れたり、基板の銅箔(ランドと呼びます)が剥がれたり、基板が焦げて汚くなったりしますので、やはり使わないで済むに越したことはありません。

 部品の固定の際には2本足ないしは3本足の部品は基本的にハンダ付けしません。それは、これらの部品は部品の足(リード)を曲げて使って配線をすることが多いからです。

 抵抗やコンデンサやトランジスタなどの2本足や3本足の部品は、ピン数が多い部品の両端のピンまたは対角のピンをハンダ付けして固定したあとで、リードベンダー(下の写真)などで足をユニバーサル基板の穴の間隔に曲げてから、差し込んで足を接続するピンに向かって曲げてはんだ付け配線します。

抵抗の足を曲げる工具の写真があります
リードベンダー:抵抗の足をユニバーサル基板の穴の間隔に簡単に折り曲げられるツール

 抵抗やコンデンサの足を先にハンダ付けして余った足を切ってしまうと、ハンダ付け不良による動作不良が発生しやすく、配線が汚くなり、手間が増えます。

 こうして部品の両端または対角のピンだけをハンダ付けして固定した状態が下の写真になります。

部品の両端または対角のピンをハンダ付けして固定して部品の足で配線した状態

 部品の固定が済んだら、まずグラウンド(アース)を配線します。グラウンドは建築物の「地盤」に相当する電気配線で、これが不安定だと部品が壊れたり動作不良になったりします。

 なので、グラウンドは最優先で配線します。グラウンド(GND)は建築物の下水道管と同じように、水を使う場所(電気を使う場所)すべてに必要になります。

 そのため、グラウンドのハンダ付け個所は非常に多く、ふつうの電線(ビニール線)を使うと、被覆(ひふく)をむいてはハンダ付けしなくてはならず、また1つのピンに2本目の電線をハンダ付けしようとして加熱すると先に付けた電線が取れたりして非常に作業が難しくなります。

基板の配線を普通の電線(ビニール線)で行った例

 しかも上の写真のようにビニールが焦げたり、配線を見やすくするために色分けしたりすると、「スパゲッティ盛り合わせ」のようになってしまい非常に醜いです。

 また配線を色分けしないと、下の写真のように「そうめん大盛り」になってしまい、配線の確認や修正が困難になります。

基板の配線を色分けしないで行った結果「そうめん大盛り」

 そこで、グラウンドの配線は「すずメッキ線」を使います。すずメッキ線は、銅線の表面を金属の一種「錫」でメッキした電線で、錫(すず)と鉛(なまり)の合金である「ハンダ」との相性が良く、基板の配線に良く使われます。

 また、すずメッキ線には光沢があり、好きなところでハンダ付け可能なので、多くの接続点にハンダ付けする「グラウンド」や「電源」などの配線に向いています。

「すずメッキ線」で「グラウンド」の配線をしているところ

 さて、そんな便利な「すずメッキ線」ですが、最大の欠点は「ハンダ付けしにくい」ことです。

 さっき「ハンダとの相性が良い」と書きましたが、これは理屈であって、私の長年の経験からすると「ハンダ付けとの相性」は最悪です。

 そんな最悪を回避する一番の方法は、あまり売られていませんが、「はんだめっき線」を使うことです。さすがに「ハンダめっき線」は、ハンダとの相性は最高で、「ダイヤモンドを切るにはダイヤモンドで切る」みたいな感じでハンダ付け可能です。

 「ハンダめっき線」が手に入らない場合は、熱容量の大きい(ワット数の大きい)「ハンダごて」を使うべきです。

 ハンダ付け初心者はワット数の小さい「ハンダごて」を使うべきだ!と言う人がいますが、私はそうは思いません。

ワット数の小さい「ハンダごて」の例

 たしかに、ワット数の小さいハンダごてを使えば、ヤケドをした際の被害が少なくて済む可能性があります。また、ハンダ付けに手間取ってハンダごてを当てている時間が長くなっても熱で部品が壊れる可能性は低くなります。

 しかし、ワット数の小さいハンダごては、必然的にハンダごてを当てている時間が長くなり、ハンダも付きにくいため汚くなりやすいのです。

 逆にワット数の大きいハンダごてを使えば短時間で美しくハンダ付け可能です。

ワット数の大きい(しかも温度を一定に保ってくれる)「ハンダごて」の例

 ちょっと話が横道に逸れましたので、ハンダ付けの話は別の機会に譲って、すずメッキ線によるグラウンドの配線に話を戻します。

 すずメッキ線をハンダ付けするときに、すずメッキ線を手で押さえてハンダ付けしようとするとヤケドの恐れがあります。

 なぜならばすずメッキ線は裸線(はだかせん)ですし、中身は「銅」なので非常に熱を伝えやすいです。

 そこで下の写真のような「放熱クリップ」や、握ると開く「逆作用ピンセット」で固定してハンダ付けします。

放熱クリップで「すずメッキ線」を押さえてハンダ付けしているところ
逆作用ピンセットの例

 そうすると、火傷することなく、すずメッキ線の浮きもなく、美しく真っ直ぐにハンダ付けできます。

 そのとき、すずメッキ線は必ずユニバーサル基板の穴の真ん中を通します。穴のまわりには銅箔の「ランド」があり、穴の真上を通さないと「銅箔」を介してピンがショートすることがあります。

銅箔(どうはく)で配線がショートしないように穴の中心を通るように後で修正した

 また、すずメッキ線を立体交差させるのは禁止です。基板を机に置いて作業したりするうちにショートします。

すずメッキ線を立体的に交差させると「ショート」する危険性が高まるので禁止

 また、すずメッキ線とすずメッキ線を接続するときは、ワット数の大きいハンダごてを使わないと電気が通りません。

すずメッキ線とすずメッキ線を接続するのは難しい

 これが私がワット数の小さいハンダごてを使うのをお勧めしない最大の理由です。

 さて、グラウンドの配線が終わったら、次に「電源の配線」をします。「電源」は建築物でいえば「水道管」のようなもので、電気が必要な(水が必要な)部分に安定した電圧(水圧)の電気(水)を供給しますので、グラウンドと同じく基本的に「すずメッキ線」を使って配線します。

 ただし、基板にはすでに「グラウンド」の「すずメッキ線」がありますので、電源の配線は、どうしてもグラウンドと交差してしまうかもしれません。

 そのため、グラウンドと交差してしまうところだけ「ビニール線」を使います。

電源の配線にビニール線を使った例(基板の左上)

 上の写真の例では、黄色の「ラッピング線」が基板の左上に使われています。

 この例ではグラウンドと交差していませんが、他の電源よりも電圧が高いため、間違えたり触って感電したりしないように、わざわざ絶縁された電線を使っています。もっとも、この回路の黄色い線の部分は12ボルトなので感電の危険はありません。なめたらビリビリしますが(汗)。

その他の信号線の配線

 その他の信号線は、「ラッピング線」を使うと便利です。ラッピング線は銅線の芯が1本の「単芯」で、基板の配線に使うと作業が楽になります。

 私がお勧めするのは、メートル当たり百円前後しますが「ジュンフロン線」と呼ばれる、熱に強くて、芯線が銀メッキされている、ハンダごての熱では被覆(ひふく)が溶けなくて、しかも銀メッキされているためハンダ付けしやすい便利な電線です。

 ジュンフロン線はメートル当たり百円程度と高価ですが、はんだ付けのしやすさが格段に良いため、作業効率が数倍高くなり、信頼性も高くなります。普通のラッピング線を使うと、はんだ付けする前にいちいち「はんだメッキ」しなくてはならず、1本の配線に数分かかります。

高価だが基板の配線に使いやすい「ジュンフロン線」

ユニバーサル基板を使った電子回路基板の配線はこちら

リニアアクチュエータの使い方

 リニアアクチュエータは、直線往復運動をするメカニズムです。意味は違いますがリニアモーターとも呼ばれています。

 ここで紹介するリニアアクチュエータはオリエンタルモーター製のストローク850mmで40kgまでの物を最高400mm/secで移動できる装置です。

 しかし、このリニアアクチュエータを使ってみて、問題が発生しました。パソコンとケーブルでつないで専用ソフトで操作すると動くのですが、シーケンサーとつないで制御するとまったく動きません。

 専用ソフトで入力信号を見てみると、入力信号を認識していません。テスターを使って入力端子を調べてみると、そこには電圧がありません。

 結果から先に言いますと、この装置は「有電圧入力」でした。つまり外部から電圧を加えないと動作しないのです。

 これは、テスターの抵抗レンジで測ってみてわかりました。電圧が0Vなので、抵抗を測ってみると、一方は無限大で、逆方向は真ん中程度の値を示します。

テスターの使い方

 つまり、中にダイオードが入っていることになります。ダイオードの正体は発光ダイオードつまりLEDです。普通のダイオードも直列に入っている可能性があります。

 このダイオードの正体は、入力信号を電気的に絶縁して回路を保護するフォトカプラです。ふつうは内部から電源が供給されていて、入力端子とアース(GND)の間を接続すると作動するのですが、この装置では外部に電源を用意して、入力端子に電圧を供給しなくてはなりません。

 ここでひとつ問題が発生しました。使おうとしていたシーケンサーはトランジスタ出力のため、電流をアースに引き込むこと(シンク)は可能でも、電流を外部に供給すること(ソース)は不可能です。

 そこでとりあえずリレー出力のシーケンサーがあったので、それを使うことで無事に動作しましたが、トランジスタ出力のシーケンサーしかない場合は、そのままでは使えません。

トランジスタ出力のシーケンサー(PLC)三菱電機FX1S-20MT

 そんなときは、リニアアクチュエータやシーケンサーの中にも使われているLEDとフォトトランジスタで電気的に絶縁する電子部品「フォトカプラ」を使えば、トランジスタ出力のシーケンサーでも動かすことができるはずです。

シーケンサーの選び方と使い方

 このようにメカトロニクスでは、制御回路や電気回路の知識の他に電子回路の知識が必要なことが多く発生します。

自動機械の製作は知り合いの「河政工業株式会社」へ