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メカトロニクス目次

 メカトロニクスは、「メカニカル」と「エレクトロニクス」を合成した和製英語で、直訳すれば、「機械の電子化」になります。メカトロニクスは「センサ」、「コントローラー」、「アクチュエータ」の3要素で構成されます。

 近年では、コントローラーにマイクロコンピューターが使われることが多く、メカトロニクスを習得するには「電子技術」や「ソフトウェア」の知識が欠かせません。

電子技術はdenshikan.com

制御回路実習(1)

 進級おめでとうございます。これから1年間にわたって、皆さんには制御回路実習を学んでいただきます。しばらくの間、オンライン実習になりますが、気を落とさずに頑張ってください。

制御回路実習の内容

 まず、制御回路実習の内容ですが、ロボットや自動機械を動かすために必要なメカトロニクス技術の中で、特に「制御回路」について、実習を通して学んで行きます。

制御回路って何?

 ロボットや自動機械の制御回路は、「マイクロコンピューター」や「プログラム・ロジック・コントローラー」と呼ばれる制御装置が多く使われています。

マイクロコンピューターの例
プログラム・ロジック・コントローラーの例

マイクロコンピューターを使った制御回路

 マイクロコンピューターは略して「マイコン」とも呼ばれ、安いものでは百円程度、高いものでは10万円程度します。処理が速く、小型軽量で、大量生産に向きますが、プログラムを作るのが難しく、大量生産する家電製品や、高性能な制御装置を必要とするロボットや、安く作らないといけない「おもちゃ」などに使われます。また、マイクロコンピューター単体では使えず、マイクロコンピューターを中心とした回路を組まなくてはなりません。

 マイクロコンピューターを制御装置として使えるようにする回路は、試作品などでは「ユニバーサル基板」と呼ばれる材料と電子部品を使って、自分でハンダ付けして作ります。

制御回路試作品の例

 また、量産時には、「プリント基板」と呼ばれる、銅箔であらかじめ配線された基板に「自動ハンダ付け装置」などを使って電子部品をハンダ付けして組み立てます。

低価格なマイクロコンピューター(Arduino nano互換機)
マイクロコンピューターを使った制御回路の例

マイクロコンピューターを使った制御回路の開発手順

 マイクロコンピューターを使った制御回路の開発は、一般的に次のような手順で行われます。

  • マイクロコンピューターを選ぶ
  • ユニバーサル基板を使ってはんだ付けして制御回路基板を作る
  • 制御回路基板を配線する
  • マイクロコンピューターのプログラムを作る
  • 動作試験を繰り返しながらプログラムを修正する
  • (試作した回路を元にプリント基板を設計する)
  • (プリント基板に電子部品を実装する)
  • (実装済プリント基板にプログラムを書き込む)
  • (プログラムを書き込んだ制御回路基板を検査する)
  • (制御回路基板を機械に組み込んで配線する)
  • (制御回路基板を組み込んだ機械を検査する)

 かっこ付きの手順は、「電子機器」の知識と技術が必要なため、機械技術者が直接実施することは少ないです。

プログラム・ロジック・コントローラーを使った制御回路

プログラム・ロジック・コントローラーを使った制御回路の例

 プログラム・ロジック・コントローラーを使った制御回路の開発はマイクロコンピューターよりもずっと簡単です。プログラム・ロジック・コントローラーにはマイクロコンピューターが使われているのですが、プリント基板の実装や内部の配線は既に済んでいます。

プログラム・ロジック・コントローラーの内部(中段の基板がマイクロコンピューター)

 そこで、プログラム・ロジック・コントローラーを使って機械の制御装置を作る手順は次のようになります。

  • プログラム・ロジック・コントローラーを選ぶ
  • プログラム・ロジック・コントローラーを取り付ける
  • プログラム・ロジック・コントローラーを配線する
  • プログラム・ロジック・コントローラーにプログラムを書き込む

 これで、プログラム・ロジック・コントローラーを使った制御装置は開発できてしまいます。しかも、プログラム・ロジック・コントローラーのプログラム開発はマイクロコンピューターのプログラム開発よりも、ずっと簡単に作ることができます。

マイクロコンピューターのプログラム開発の例

 マイクロコンピューターのプログラムは近年ではC言語と呼ばれるプログラムの書き方の決まりを守って作ります。そのプログラムを本格的に作れるようになるには、コンピューター専門学校などに2年ほど通って、やっとできるようになります。ただし、C言語プログラムを本格的に作れれば、パソコンやスマートフォンのアプリなども作れますし、少し勉強すればGoogleが提供しているようなサービスを自分で始めることもできます。

C言語によるプログラムの例

プログラム・ロジック・コントローラーのプログラムの例

 プログラム・ロジック・コントローラーのプログラムはマイクロコンピューターのプログラムよりもずっと簡単で、パソコンソフトで4つほどのアイコンをクリックして数字を入力し、線で結ぶだけです。

プログラム・ロジック・コントローラーのプログラムの例

 このようにプログラム・ロジック・コントローラー(PLC)は簡単に使えるため、正確に調査したわけではありませんが、ロボットや自動機械の90%以上はプログラム・ロジック・コントローラーが使われていると思います。

制御回路実習の今後の流れ

 制御回路は、このようにマイクロコンピューター(マイコン)またはPLCを使って実現できますが、実際に制御回路を作れるようになるためには、他にも知っておかないといけない知識や技術があります。

 制御回路実習では、次のような制御回路を作れるようになるために必要な知識と技術を実習(しばらくは出来ないかも知れませんが)を通して身に付けていただく予定です。

  • 電気の基本を学ぶ(電圧、電流、電力、周波数、テスターの使い方など)
  • 制御回路で動かす「アクチュエーター」を知る
  • 制御回路を自動化する「センサー」を知る
  • ハンダ付けや配線などの実技を身に付ける
  • プログラム・ロジック・コントローラー(PLC)を使ってみる
  • マイクロコンピューター(マイコン)のプログラムを作ってみる
  • 電子部品について学習する
  • 実際に機械の制御をしてみる
間違えても安全なプログラム・ロジック・コントローラー実験装置
メカトロニクス機器の例
3Dプリンターを自分で組み立てる
3軸NC加工機の製作例
掃除しない掃除ロボット
実習用ロボットアーム
プログラム・ロジック・コントローラー実習
アクチュエーター実習
アーケードゲームのようなもので実習(手振れ注意)
パチンコのようなもので実習(手振れ注意)

ここまで理解したら感想を送ってください

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Arduinoマイコンで相撲ロボットを作る

Arduinoマイコンで相撲ロボットを作る

 ArduinoマイコンとDCギヤードモーター2個、モーターハブ2個、ラジコン用タイヤ2個、ボールキャスター2個、フォトリフレクタを4個使って相撲ロボットを作りました。

 測距センサ2個で、相手との距離や位置関係を判断し、DCギヤードモーターをコントロールして戦います。

 まだプログラムが未完成なため、戦うことはできていませんが、とりあえず壁を避けて走ります。

 制御回路には、Arduino nanoマイコン、3端子レギュレータ、モータードライバー2個、土俵を割らないようにするためのフォトリフレクタの感度調整用の半固定抵抗4個で構成されています。

使用した1個400円程度のArduino nano互換マイコンボード

 Arduino nanoマイコンボードは、ICチップの付いた基板にピンヘッダが付いており、ユニバーサル基板を使った回路基板にICのように載せられる便利なマイコンボードですが、設計が古いため左側のUSBコネクターがMini USBになっていますが、USBケーブルだけでパソコンと接続してプログラムを書き込むことができます。

相撲ロボットの制御基板

 このArduinoを中心に、他の必要部品を配置して配線した基板が上の写真です。ArduinoのUSBコネクターはプログラムの書き換えが基板に取り付けたまま可能なように、基板の外周に配置し、コネクターをふさぐように部品を配置してはいけません。

 バッテリーを接続する電源コネクター(左下)は、その右側の3端子レギュレータによって12ボルトから5ボルトに下げられ、Arduinoマイコンの5V端子とフォトリフレクタ(白いコネクター(3ピン)に供給します。バッテリーのマイナス端子は、3端子レギュレータのGND、そしてArduinoのGNDに接続します。そのため、これらの回路はArduinoの5VとGNDの近くに配置します。

 フォトリフレクタを接続する白い3ピンのコネクターと、土俵の白線を検出する感度調整用の半固定抵抗は、それぞれArduinoのA0~A3に接続しますので、その近くに配置します。

 モータードライバーICは、ArduinoのD2~D5に接続しますので、その近くに配置し、2個のモーターを接続する右下の茶色のコネクターは、モータードライバーICの近くに配置します。

 ArduinoのD0とD1は、パソコンとの通信に使って、プログラムを書き込んだり、データをパソコンに表示したりするのに使いますので、ここには何も接続しません。もしここにモータードライバーICとモーターを接続すれば、プログラムを書き込むたびにロボットがランダムに動いて暴れることになるはずです。

 このように、回路から部品配置と配線を考えるときに、その部品が配置されるべき位置を慎重に考えてから固定すれば、配線が短く簡単になり、交差しないのでプリント基板を設計するときにも楽になります。ユニバーサル基板で組み立てるばあいは、あまり配線が短すぎるのも配線しにくいのですが、配線が交差しないようにしておけば、抵抗のリードを切った余りなどで直接接続できますので、作業効率からも見た目からもお勧めです。

プログラムを書き込む

Arduino IDEソフトウェアによるArduinoプログラムの開発画面

 Arduinoマイコンのプログラム(ソフトウェア)を開発するためのパソコンソフトはarduino.ccから無料でダウンロードでき(できれば寄付してください)、簡単に使えます。

 このような点からも、学生の学習用や趣味などで使うにもArduinoマイコンは適しています。

ユニバーサル基板を利用した組立方法はこちら

ラジコン用サーボモーターでロボットアームを作る

ラジコン用サーボモーターを使ってロボットアームを作る

 ラジコン用サーボモーターは1個500円程度から1,000円程度で購入でき、マイコンを使えば制御も簡単なので、おもちゃのロボットアームを作るのに適しています。

 おもちゃと書いたのは、精密な動作はできずロボットとしての実用性はないからです。また、無理矢理関節を曲げたり物にぶつかったりすると簡単に壊れます。

 でも、学習用や子供を喜ばせる程度には使えるため、「おもちゃ」と書いてます。

 このロボットアームは、ラジコン用サーボモーターを2個と、物にぶつかったりしても壊れないステッピング・モーターを2個併用することにより、安全性を少しだけ高めたもので、400円ほどで買えるArduinoマイコン互換機で制御し、プログラムで時間と角度の指定で自動的に動かすこともできますが、ここではプログラムを簡単にするためと、学生や子供(同じようなレベルです)が喜ぶので、可変抵抗によりそれぞれの軸の角度を手動で設定して動かせるようにしました。

 また、ロボットアームのメカは、上の写真のように「アルミ・アングル」と市販の「アルミ・ケース」を使ったものや、下の2枚の写真のように、中国製のロボットアーム金具(確か2,500円程度だったと思います)を使ったものや、タミヤ模型のプラ板を切って削って使ったものなど、学生によって色々なものが出来上がりました。

中国製のロボットアーム金具を使ったロボットアーム
タミヤ模型のプラ板を使ったロボットアーム
Arduino nanoマイコンを使ったロボットアームのコントローラー

 回路は、Arduinoマイコンに「エボルタ充電池」などのニッケル水素電池4本を電源とし、D2~D5までにラジコン用サーボモーターをつないだだけの簡単なものです。

 そして、可変抵抗の3本ある端子の両側に5VとGNDをつなぎ、可変抵抗の中央の端子をArduinoマイコンのA0~A4につないだだけです。

 もちろんラジコン用サーボモーターの電源は直列4本のニッケル水素電池から供給します。

 プログラムは、Arduino開発用のソフトウェアであるArduino IDEのスケッチ例servoのknobを4回コピペして数字の0~4を付けただけのものです。

 最初に書いたように、まるで実用にはなりませんが、消しゴムをつかんで別の場所に置く程度のことはできますので、時間と5千円程度の小遣いがあったら、ぜひ作ってみてください。

テスターの使い方

 メカトロニクス機器の調整や修理に欠かせない測定器の「テスター」の使い方について説明します。

 テスターは、大きく分けて「アナログ式」と「デジタル式」があります。それぞれ利点と欠点があります。

アナログ式テスター

アナログ式テスターの例

 アナログ式テスターにはメーターが付いていて、メーターには複数の目盛りがあり、目盛りを間違えると正しい測定ができません。一番困るのはケタを間違えやすいことです。

  • 電圧や電流の変化がわかりやすい
  • 値を読み間違えがち
  • レンジ(ダイヤル)の切り替えが面倒
  • レンジを間違えると壊れたりヒューズが切れることが多い
  • プラスとマイナスを間違えると壊れることがある

デジタル式テスター

デジタル式テスターの例

 デジタル式テスターは電圧や抵抗などが数値で表示されるので読み間違いが少なく、機種によってはダイヤルの切り替えが、「電圧」「電流」「抵抗」しかないものもあり、操作が簡単で、レンジの間違えで壊れにくい。

  • レンジを間違えても壊れにくい
  • 測定値を読み間違えにくい
  • プラスとマイナスを間違えても「マイナス」と表示される
  • 電圧や電流が変化する測定は難しい(数値が安定しない)
  • 高級品では「波形」も見られるものがある

テスターで実際に測定する

  • デジタル式テスターでは電源をオンにする
  • レンジ(ダイヤル)を回して測定する範囲を切り替える
  • 測定する電圧や電流の大きさが不明の場合は一番大きいレンジにする
  • テスト棒(リード)の金属部分に触れないように両手で1本ずつ持つ
  • 赤(プラス)と黒(マイナス)の先端を正しく回路に押し当てる
  • 交流電圧を測定する場合は赤黒は気にしなくて良い
  • 切り替えたレンジの目盛りを読む(アナログ式テスターの場合)
  • 表示された数値を読む(デジタル式テスターの場合)
  • テスト棒を回路から必ず毎回離す
  • 値がより低いレンジ以下であれば、レンジを1つずつ下げる
  • より正確な値を読む

テスターの抵抗測定はテスター内部の電池から電流を流しいている!

 なので、電流レンジで電圧を測定したり、抵抗レンジで電流を測定したりするとテスターが壊れるか内部のヒューズが切れます。

電流を測定するには回路を切断して切断したところに直列に!

波形も見られる高級なテスターの例
高級なテスターで波形を見たところ

メカトロニクス機器とは?

メカトロニクス機器とは

 メカトロニクス機器は、一部では電子制御機器と呼ばれることもあります。広い意味でのロボットもメカトロニクス機器に含まれます。

 メカトロニクス機器では、一般的にセンサからの信号をマイコンやプログラムコントローラで処理してモータや電磁石(ソレノイド)や空圧機器などのアクチュエータを制御して自動化または遠隔操作します。

非常に多いメカトロニクス機器

 町中に多数ある自動販売機もメカトロニクス機器の一種です。また、エレベータや生産ライン設備も基本的にはメカトロニクス機器です。

センサの種類

リミットスイッチ

リミットスイッチ

光電センサ

光電センサー

磁気センサ

磁気近接センサー

アクチュエータの種類

モータ

小型DCモータ

小型DCモーターの例(マブチモーター)

AC誘導モータ

AC誘導モーター

ステッピングモータ(パルスモータ)

ステッピング・モーター(パルスモーター)

ソレノイド(電磁石)

ソレノイド(電磁石)

コントローラの種類

リレー回路

リレー回路

マイコン

 近年ではマイコンは小型化が進み性能も格段に向上しています。

マイクロコンピューター(マイコン)

左から1980年代、1990年代、2000年代のマイコン

新しいマイコン

2010年代のArduinoMEGAマイコン基板

プログラムコントローラ(PLC)

 マイコンを利用して簡単にリレー回路の置き換えが出来るように作られた装置です。

プログラム・コントローラー(PLC)の例

一般的にラダー図と呼ばれるリレー回路を模した回路をパソコンソフトで編集してケーブル等を利用してプログラミングを書き込みます。書き込んだ後は基本的にパソコンは必要ありません。

ラダー図の例

ラダー図の例

プログラムコントローラと書き込みのための変換器

プログラム・ロジック・コントローラー(シーケンサー)の外観

はじめての電子回路組立(2)

ユニバーサル基板を使った組立

ユニバーサル基板を使った電子基板の試作

 メカトロニクスで電子基板を自作できると便利ですよね? また電子工作などで組立キットに飽きてしまって、回路基板を自作したい人にも読んでいただきたい内容です。

 前回、部品の固定、グラウンドの配線、電源の配線まで説明しましたが、今回は「その他の信号線の配線」について説明します。

ユニバーサル基板における信号線の配線

ユニバーサル基板を使った回路基板の配線例(裏面配線)

 ユニバーサル基板を使った信号の配線には、「ジュンフロン線」を使うと楽だと説明しましたが、なければ「ラッピング線」でも何とかなります。

メートル辺り百円前後の高価な「ジュンフロン線」だが配線が楽になる

 グラウンドと電源の配線、そしてジュンフロン線の準備はできましたか? それでは信号線の配線をして試作基板を完成させましょう。

電子基板配線の原則

 回路基板の配線の基本は最短距離ですが、最短距離を気にしすぎると、配線が難しくなったり、失敗したときに電線が無駄になったり、断線しやすくなったりしますので、妥協が必要です。

 なぜ最短距離かと言いますと、電気が電線を流れる速度は光の速度と言われています。そのため配線が長いと電気が到達するのに時間がかかり、正常に動作しなくなったりするためです。

 ただし、これは衛星中継やコンピューターのように周波数が非常に高い場合の話で、メカトロニクスや電子工作では、そんなに気にしなくて大丈夫です。

 そこで実際には、次の写真のように電線に余裕を持たせて配線します。

ユニバーサル基板の配線の例

 上の写真では、左側は「直角配線」、右側は「なだらか配線」になります。

「直角配線」と「なだらか配線」

 技術者には、上の写真の左側のように「直角配線」すべきだと言う人が多いです。たしかに見た目は美しく、整然として確認しやすいです。ただし、角が引っかかって断線しやすかったり、作業に時間がかかります。

 それに対し、私は上の写真右側のような「なだらか配線」をすることが多いです。その背景には配線の長さが数センチ違うだけで正常に動作しない「スーパーコンピューター」や「超高速回路」の配線をした経験からの習慣と、断線のしにくさ、試作段階での時間の短縮のためです。

 また、「なだらか配線」ですと、接続する場所を間違えたり変更したりしたくなっても、そのままハンダごてだけで配線を変えられます。

 特にマイコンを使った配線では、後で配線(ポート)を変える必要がある場合が多く、「直角配線」だと、そのたびに高価なジュンフロン線が無駄になり、時間もかかります。

 試作の最大の目的は、設計した回路が正常に動作するかを少しでも早く確認することです。そこで、その場合は「なだらか配線」をしたほうが、試作の目的に合っています。

 しかし、試作品がそのまま販売されたり使われたりする場合は見た目の問題から「直角配線」をお勧めします。

 私の場合、「直角配線」を希望されるお客さんのには、3倍の手間賃と3倍の時間を要求します。

 もっとも、手配線の基板をそのまま製品に使うのは、信頼性の問題や、もしヒットして大量に作らなければならない場合などに困るため、基本的にはお勧めしていません。プロの仕事とは、そういうものです。

 プリント基板(プリント配線板)の場合は、動作していた回路の配線が断線することはほとんどありませんし、見た目もユニバーサル基板を使った手配線よりも格段に美しいです。

プリント基板(プリント配線板)の例:信頼性と美しさは格段に違う

実際の配線

 さて、話を戻して、実際にユニバーサル基板を使った配線をする方法を説明します。

ラッピング線の端を2mm程度むく

 まずラッピング線(ジュンフロン線)の先端を2mm程度むきます。この長さはユニバーサル基板の銅箔(ランド)の直径とだいたい同じです。

 ランドの直径よりも長くむいてしまうと、隣のピン(部品の足)とショートしたり、ランドからはみ出してショートしたり断線したりしやすくなります。

ユニバーサル基板を使った配線の「悪い例」(芯線の露出が多く信頼性に欠ける)

 ラッピング線(ジュンフロン線)をむくには「ワイヤー・ストリッパー」と呼ばれる工具が必要です。

ワイヤー・ストリッパーの例(芯線の太さにより穴の大きさが違う)

 ワイヤー・ストリッパーは、芯線の太さに適した溝を使う必要があります。ほとんどの場合、芯線の直径あるいはAWGナンバーと呼ばれるアメリカの規格の数字が刻印されていますので、その値を芯線の太さに合わせて先端2mmほどを溝から出して、握って電線の長いほうを真っ直ぐに引っ張ります。

 溝を間違ると芯線に傷が付いて断線しやすくなったり、被覆(ひふく)が斜めになったりして見た目が悪いばかりでなく、ショートしやすくなったりしますので注意が必要です。

むいた電線を部品の足とランド(銅箔)にハンダ付けする

 むいた芯線を部品の足とランドの両方にしっかりとハンダ付けします。両方にしっかり付けないと引っ張ったり振動で取れます。

もう片方の長さを測りニッパーまたはワイヤー・ストリッパーの奥で切る

 ワイヤー・ストリッパーの刃の奥はたいてい線を切れるようになっていますので、そこを使えば持ち替えずに切れます。ただし、配線の長さが短い場合は届きませんので、ニッパーを使って測った長さに切ります。「直角配線」の場合は、直角に1回だけ曲げて届く長さに切ります。

 直角配線で2回曲げると線がブラブラして断線しやすくなりますし、見た目も悪く、長さを見極めるのも難しくなりますので、曲げは1回までです。

 ちなみに隣のピンや2つ先のピンに被覆線(ひふくせん)で配線するのは時計職人か米粒に字を書ける人でないと無理なので抵抗やコンデンサなどのリード線を切った残りをハンダ付けします。

 そのため、抵抗やコンデンサの足の余りは捨てずにとっておきましょう。

切った先端をむいてハンダ付け

ワイヤー・ストリッパーで電線の反対側をむいているところ

 ちなみに私は左利きなので持ち手が逆です。写真に撮るとわかりにくいですが、教えるときは向かい側からになるので、非常にわかりやすいです。スポーツのインストラクターが逆向きに動いて教えてくれるのと同じです。もしかしてインストラクターに向いてる?

はんだ付けの極意はこちら

はじめての電子回路組立

ユニバーサル基板を使った組立

基板組立の例(ステッピングモータ駆動回路)

 電子回路の試作に使われる「ユニバーサル基板」を利用して、上の写真のような制御回路基板を組み立てる例を説明します。

参考:はんだ付けの極意

 まず、電子部品を高さの低い順(熱や静電気に弱い部品は最後)にユニバーサル基板にハンダ付けして固定します。

 そのとき、全部のピン(部品の足)をハンダ付けしてしまうと、向きを間違えたときや浮いてしまったときなどに取り外したり修正したりするのが難しくなります。

 そこで、ピンの数が多い部品の場合は、両端のピンや対角のピンだけをハンダ付けし、残りのピンは放置するか、配線が終わってからハンダ付けします。

 この状態ならば、向きを間違えたり浮いてしまった部品を「ハンダ吸い取り器」やハンダごてを当てて修正できます(下の写真)。

ハンダ吸い取り器によるハンダ付けの修正

 ハンダ吸い取り器は使うのにコツが必要です。なので使わないで済むように注意して部品を固定しましょう。

 ちなみに私が講師をしている専門学校では、ハンダ吸い取り器は2台しか用意していませんが、いつも奪い合いになってます(汗)。

 ハンダ吸い取り器は、ハンダごてを当ててハンダを溶かした次の瞬間、先端の吸い取り口を取りたいハンダに当て、溶かしたハンダが固まらないうちにボタンを押してポンプの作用でハンダを吸い取ります。

 当て方が悪かったり、ボタンを押すのが遅かったりすると、せっかく溶かしたハンダが固まり、失敗します。

 何度も失敗すると、プラスチック部品が溶けたり、熱に弱い部品が壊れたり、基板の銅箔(ランドと呼びます)が剥がれたり、基板が焦げて汚くなったりしますので、やはり使わないで済むに越したことはありません。

 部品の固定の際には2本足ないしは3本足の部品は基本的にハンダ付けしません。それは、これらの部品は部品の足(リード)を曲げて使って配線をすることが多いからです。

 抵抗やコンデンサやトランジスタなどの2本足や3本足の部品は、ピン数が多い部品の両端のピンまたは対角のピンをハンダ付けして固定したあとで、リードベンダー(下の写真)などで足をユニバーサル基板の穴の間隔に曲げてから、差し込んで足を接続するピンに向かって曲げてはんだ付け配線します。

抵抗の足を曲げる工具の写真があります
リードベンダー:抵抗の足をユニバーサル基板の穴の間隔に簡単に折り曲げられるツール

 抵抗やコンデンサの足を先にハンダ付けして余った足を切ってしまうと、ハンダ付け不良による動作不良が発生しやすく、配線が汚くなり、手間が増えます。

 こうして部品の両端または対角のピンだけをハンダ付けして固定した状態が下の写真になります。

部品の両端または対角のピンをハンダ付けして固定して部品の足で配線した状態

 部品の固定が済んだら、まずグラウンド(アース)を配線します。グラウンドは建築物の「地盤」に相当する電気配線で、これが不安定だと部品が壊れたり動作不良になったりします。

 なので、グラウンドは最優先で配線します。グラウンド(GND)は建築物の下水道管と同じように、水を使う場所(電気を使う場所)すべてに必要になります。

 そのため、グラウンドのハンダ付け個所は非常に多く、ふつうの電線(ビニール線)を使うと、被覆(ひふく)をむいてはハンダ付けしなくてはならず、また1つのピンに2本目の電線をハンダ付けしようとして加熱すると先に付けた電線が取れたりして非常に作業が難しくなります。

基板の配線を普通の電線(ビニール線)で行った例

 しかも上の写真のようにビニールが焦げたり、配線を見やすくするために色分けしたりすると、「スパゲッティ盛り合わせ」のようになってしまい非常に醜いです。

 また配線を色分けしないと、下の写真のように「そうめん大盛り」になってしまい、配線の確認や修正が困難になります。

基板の配線を色分けしないで行った結果「そうめん大盛り」

 そこで、グラウンドの配線は「すずメッキ線」を使います。すずメッキ線は、銅線の表面を金属の一種「錫」でメッキした電線で、錫(すず)と鉛(なまり)の合金である「ハンダ」との相性が良く、基板の配線に良く使われます。

 また、すずメッキ線には光沢があり、好きなところでハンダ付け可能なので、多くの接続点にハンダ付けする「グラウンド」や「電源」などの配線に向いています。

「すずメッキ線」で「グラウンド」の配線をしているところ

 さて、そんな便利な「すずメッキ線」ですが、最大の欠点は「ハンダ付けしにくい」ことです。

 さっき「ハンダとの相性が良い」と書きましたが、これは理屈であって、私の長年の経験からすると「ハンダ付けとの相性」は最悪です。

 そんな最悪を回避する一番の方法は、あまり売られていませんが、「はんだめっき線」を使うことです。さすがに「ハンダめっき線」は、ハンダとの相性は最高で、「ダイヤモンドを切るにはダイヤモンドで切る」みたいな感じでハンダ付け可能です。

 「ハンダめっき線」が手に入らない場合は、熱容量の大きい(ワット数の大きい)「ハンダごて」を使うべきです。

 ハンダ付け初心者はワット数の小さい「ハンダごて」を使うべきだ!と言う人がいますが、私はそうは思いません。

ワット数の小さい「ハンダごて」の例

 たしかに、ワット数の小さいハンダごてを使えば、ヤケドをした際の被害が少なくて済む可能性があります。また、ハンダ付けに手間取ってハンダごてを当てている時間が長くなっても熱で部品が壊れる可能性は低くなります。

 しかし、ワット数の小さいハンダごては、必然的にハンダごてを当てている時間が長くなり、ハンダも付きにくいため汚くなりやすいのです。

 逆にワット数の大きいハンダごてを使えば短時間で美しくハンダ付け可能です。

ワット数の大きい(しかも温度を一定に保ってくれる)「ハンダごて」の例

 ちょっと話が横道に逸れましたので、ハンダ付けの話は別の機会に譲って、すずメッキ線によるグラウンドの配線に話を戻します。

 すずメッキ線をハンダ付けするときに、すずメッキ線を手で押さえてハンダ付けしようとするとヤケドの恐れがあります。

 なぜならばすずメッキ線は裸線(はだかせん)ですし、中身は「銅」なので非常に熱を伝えやすいです。

 そこで下の写真のような「放熱クリップ」や、握ると開く「逆作用ピンセット」で固定してハンダ付けします。

放熱クリップで「すずメッキ線」を押さえてハンダ付けしているところ
逆作用ピンセットの例

 そうすると、火傷することなく、すずメッキ線の浮きもなく、美しく真っ直ぐにハンダ付けできます。

 そのとき、すずメッキ線は必ずユニバーサル基板の穴の真ん中を通します。穴のまわりには銅箔の「ランド」があり、穴の真上を通さないと「銅箔」を介してピンがショートすることがあります。

銅箔(どうはく)で配線がショートしないように穴の中心を通るように後で修正した

 また、すずメッキ線を立体交差させるのは禁止です。基板を机に置いて作業したりするうちにショートします。

すずメッキ線を立体的に交差させると「ショート」する危険性が高まるので禁止

 また、すずメッキ線とすずメッキ線を接続するときは、ワット数の大きいハンダごてを使わないと電気が通りません。

すずメッキ線とすずメッキ線を接続するのは難しい

 これが私がワット数の小さいハンダごてを使うのをお勧めしない最大の理由です。

 さて、グラウンドの配線が終わったら、次に「電源の配線」をします。「電源」は建築物でいえば「水道管」のようなもので、電気が必要な(水が必要な)部分に安定した電圧(水圧)の電気(水)を供給しますので、グラウンドと同じく基本的に「すずメッキ線」を使って配線します。

 ただし、基板にはすでに「グラウンド」の「すずメッキ線」がありますので、電源の配線は、どうしてもグラウンドと交差してしまうかもしれません。

 そのため、グラウンドと交差してしまうところだけ「ビニール線」を使います。

電源の配線にビニール線を使った例(基板の左上)

 上の写真の例では、黄色の「ラッピング線」が基板の左上に使われています。

 この例ではグラウンドと交差していませんが、他の電源よりも電圧が高いため、間違えたり触って感電したりしないように、わざわざ絶縁された電線を使っています。もっとも、この回路の黄色い線の部分は12ボルトなので感電の危険はありません。なめたらビリビリしますが(汗)。

その他の信号線の配線

 その他の信号線は、「ラッピング線」を使うと便利です。ラッピング線は銅線の芯が1本の「単芯」で、基板の配線に使うと作業が楽になります。

 私がお勧めするのは、メートル当たり百円前後しますが「ジュンフロン線」と呼ばれる、熱に強くて、芯線が銀メッキされている、ハンダごての熱では被覆(ひふく)が溶けなくて、しかも銀メッキされているためハンダ付けしやすい便利な電線です。

 ジュンフロン線はメートル当たり百円程度と高価ですが、はんだ付けのしやすさが格段に良いため、作業効率が数倍高くなり、信頼性も高くなります。普通のラッピング線を使うと、はんだ付けする前にいちいち「はんだメッキ」しなくてはならず、1本の配線に数分かかります。

高価だが基板の配線に使いやすい「ジュンフロン線」

ユニバーサル基板を使った電子回路基板の配線はこちら

昇給や就職に有利なシーケンサー

シーケンサーを使った自動化装置(メカトロニクス機器)

シーケンサー(プログラム・ロジック・コントローラー:略してPLC)が使えると給料が大幅に上がったり、就職や転職に有利だったりします。また、使いこなせる人が少ないので非常に大切にされます。

 そんなプログラム・ロジック・コントローラー(PLC)ですが、とっても難しくて無理だと思っていませんか? 確かに誰でも習得できるわけではありません。他のパソコンやスマートフォンのアプリ(プログラム)と同じく、論理的思考が必要とされますが、パソコンやスマートフォンのアプリケーションを作るよりは、ずっと簡単に作ることができます。

 パソコンやスマートフォンのアプリケーションを作るには、C言語などのプログラム言語の知識が必要で、一人前に作れるようになるまでに1年とか2年の期間が必要ですが、シーケンサーは、基本的にはリレー回路の置き換えなので、パソコンの画面で、直列、並列、斜線入りの3つの図形とリレーのコイルを意味する図形を置いて線でつなぐだけでできます。

 リレー回路の知識があれば1~2時間で、リレー回路の知識がなくても最短5時間程度で習得できてしまいます。実際の手順としては、次のようなものです。

  • パソコン画面上で図形(アイコン)を配置して線で結ぶ
  • その回路を変換(コンパイル)して装置に書き込み(ダウンロード)する

 たったこれだけで使えてしまいます。問題があるとすれば、図形と線をどのように組み合わせるか? ですが、とりあえず操作できるだけで採用されたり転属できたりする可能性も高いです。

 何しろ、出来る人の人数が圧倒的に少ないですから、どこの会社でものどから手が出るほど欲しいです。具体的に、どんな会社や業種が必要としているかというと、次のような感じになります。

  • 自動化やロボットの導入をしてる工場(ほとんどのメーカー)
  • 自動仕訳機などを導入している倉庫や物流
  • 研究所や試験場

 逆に言うと、手作業や人海戦術で何かを生産している以外の工場や倉庫では、ほとんど使われていると思っても差し支えありません。

 そして、シーケンサーを使いこなせる人は、基本的に工場の中でも「全体を見渡せる1段高いところにあるガラスで仕切られた空調が整っている部屋に居ます。これはなぜかというと、シーケンサーを使うのに必要になるパソコンなどの精密機器が高温多湿やホコリや空気中のチリを極端に嫌うからです。

 まあ、従業員のためというより、機械のためですけど、結果的にパソコンなどが性能を発揮できる部屋は人間にとっても居心地の良い部屋になります。

 別室に区切られている理由は、シーケンサーのプログラムは門外不出のもので、産業スパイに盗まれたりすると、見た目で機械のメカニズムをコピーし、誰でも買える(買えない国もありますが)シーケンサーを買って、盗んだプログラムを書き込めば、簡単に生産ラインなどの機械を作れてしまうからです。

 また、シーケンサーのプログラムを削除してしまえば、その工場や倉庫は数か月は操業できないほどのダメージを負います。以前、イラnの核兵器に使われる核物質の濃縮に使われる機械のシーケンサーを狙ったコンピューター・ウイルスを誰かがばらまいたなんて話もあります。

5時間でシーケンサー(プログラム・ロジック・コントローラー)を学ぶ