はじめての電子回路組立

基板組立の例(ステッピングモータ駆動回路)

 電子回路の試作に使われる「ユニバーサル基板」を利用して、上の写真のような制御回路基板を組み立てる例を説明します。

 まず、電子部品を高さの低い順(熱や静電気に弱い部品は最後)にユニバーサル基板にハンダ付けして固定します。

 そのとき、全部のピン(部品の足)をハンダ付けしてしまうと、向きを間違えたときや浮いてしまったときなどに取り外したり修正したりするのが難しくなります。

 そこで、ピンの数が多い部品の場合は、両端のピンや対角のピンだけをハンダ付けし、残りのピンは放置するか、配線が終わってからハンダ付けします。

 この状態ならば、向きを間違えたり浮いてしまった部品を「ハンダ吸い取り器」やハンダごてを当てて修正できます(下の写真)。

ハンダ吸い取り器によるハンダ付けの修正

 ハンダ吸い取り器は使うのにコツが必要です。なので使わないで済むように注意して部品を固定しましょう。

 ちなみに私が講師をしている専門学校では、ハンダ吸い取り器は2台しか用意していませんが、いつも奪い合いになってます(汗)。

 ハンダ吸い取り器は、ハンダごてを当ててハンダを溶かした次の瞬間、先端の吸い取り口を取りたいハンダに当て、溶かしたハンダが固まらないうちにボタンを押してポンプの作用でハンダを吸い取ります。

 当て方が悪かったり、ボタンを押すのが遅かったりすると、せっかく溶かしたハンダが固まり、失敗します。

 何度も失敗すると、プラスチック部品が溶けたり、熱に弱い部品が壊れたり、基板の銅箔(ランドと呼びます)が剥がれたり、基板が焦げて汚くなったりしますので、やはり使わないで済むに越したことはありません。

 部品の固定の際には2本足ないしは3本足の部品は基本的にハンダ付けしません。それは、これらの部品は部品の足(リード)を曲げて使って配線をすることが多いからです。

 抵抗やコンデンサやトランジスタなどの2本足や3本足の部品は、ピン数が多い部品の両端のピンまたは対角のピンをハンダ付けして固定したあとで、リードベンダー(下の写真)などで足をユニバーサル基板の穴の間隔に曲げてから、差し込んで足を接続するピンに向かって曲げてはんだ付け配線します。

抵抗の足を曲げる工具の写真があります
リードベンダー:抵抗の足をユニバーサル基板の穴の間隔に簡単に折り曲げられるツール

 抵抗やコンデンサの足を先にハンダ付けして余った足を切ってしまうと、ハンダ付け不良による動作不良が発生しやすく、配線が汚くなり、手間が増えます。

 こうして部品の両端または対角のピンだけをハンダ付けして固定した状態が下の写真になります。

部品の両端または対角のピンをハンダ付けして固定して部品の足で配線した状態

 部品の固定が済んだら、まずグラウンド(アース)を配線します。グラウンドは建築物の「地盤」に相当する電気配線で、これが不安定だと部品が壊れたり動作不良になったりします。

 なので、グラウンドは最優先で配線します。グラウンド(GND)は建築物の下水道管と同じように、水を使う場所(電気を使う場所)すべてに必要になります。

 そのため、グラウンドのハンダ付け個所は非常に多く、ふつうの電線(ビニール線)を使うと、被覆(ひふく)をむいてはハンダ付けしなくてはならず、また1つのピンに2本目の電線をハンダ付けしようとして加熱すると先に付けた電線が取れたりして非常に作業が難しくなります。

基板の配線を普通の電線(ビニール線)で行った例

 しかも上の写真のようにビニールが焦げたり、配線を見やすくするために色分けしたりすると、「スパゲッティ盛り合わせ」のようになってしまい非常に醜いです。

 また配線を色分けしないと、下の写真のように「そうめん大盛り」になってしまい、配線の確認や修正が困難になります。

基板の配線を色分けしないで行った結果「そうめん大盛り」

 そこで、グラウンドの配線は「すずメッキ線」を使います。すずメッキ線は、銅線の表面を金属の一種「錫」でメッキした電線で、錫(すず)と鉛(なまり)の合金である「ハンダ」との相性が良く、基板の配線に良く使われます。

 また、すずメッキ線には光沢があり、好きなところでハンダ付け可能なので、多くの接続点にハンダ付けする「グラウンド」や「電源」などの配線に向いています。

「すずメッキ線」で「グラウンド」の配線をしているところ

 さて、そんな便利な「すずメッキ線」ですが、最大の欠点は「ハンダ付けしにくい」ことです。

 さっき「ハンダとの相性が良い」と書きましたが、これは理屈であって、私の長年の経験からすると「ハンダ付けとの相性」は最悪です。

 そんな最悪を回避する一番の方法は、あまり売られていませんが、「はんだめっき線」を使うことです。さすがに「ハンダめっき線」は、ハンダとの相性は最高で、「ダイヤモンドを切るにはダイヤモンドで切る」みたいな感じでハンダ付け可能です。

 「ハンダめっき線」が手に入らない場合は、熱容量の大きい(ワット数の大きい)「ハンダごて」を使うべきです。

 ハンダ付け初心者はワット数の小さい「ハンダごて」を使うべきだ!と言う人がいますが、私はそうは思いません。

ワット数の小さい「ハンダごて」の例

 たしかに、ワット数の小さいハンダごてを使えば、火傷をした際の被害が少なくて済む可能性があります。また、ハンダ付けに手間取ってハンダごてを当てている時間が長くなっても熱で部品が壊れる可能性は低くなります。

 しかし、ワット数の小さいハンダごては、必然的にハンダごてを当てている時間が長くなり、ハンダも付きにくいため汚くなりやすいのです。

 逆にワット数の大きいハンダごてを使えば短時間で美しくハンダ付け可能です。

ワット数の大きい(しかも温度を一定に保ってくれる)「ハンダごて」の例

 ちょっと話が横道に逸れましたので、ハンダ付けの話は別の機会に譲って、すずメッキ線によるグラウンドの配線に話を戻します。

 すずメッキ線をハンダ付けするときに、すずメッキ線を手で押さえてハンダ付けしようとするとヤケドの恐れがあります。

 なぜならばすずメッキ線は裸線(はだかせん)ですし、中身は「銅」なので非常に熱を伝えやすいです。

 そこで下の写真のような「放熱クリップ」や、握ると開く「逆作用ピンセット」で固定してハンダ付けします。

放熱クリップで「すずメッキ線」を押さえてハンダ付けしているところ

 そうすると、火傷することなく、すずメッキ線の浮きもなく、美しく真っ直ぐにハンダ付けできます。

 そのとき、すずメッキ線は必ずユニバーサル基板の穴の真ん中を通します。穴のまわりには銅箔の「ランド」があり、穴の真上を通さないと「銅箔」を介してピンがショートすることがあります。

銅箔(どうはく)で配線がショートしないように穴の中心を通るように後で修正した

 また、すずメッキ線を立体交差させるのは禁止です。基板を机に置いて作業したりするうちにショートします。

すずメッキ線を立体的に交差させると「ショート」する危険性が高まるので禁止

 また、すずメッキ線とすずメッキ線を接続するときは、ワット数の大きいハンダごてを使わないと電気が通りません。

すずメッキ線とすずメッキ線を接続するのは難しい

 これが私がワット数の小さいハンダごてを使うのをお勧めしない最大の理由です。

 さて、グラウンドの配線が終わったら、次に「電源の配線」をします。「電源」は建築物でいえば「水道管」のようなもので、電気が必要な(水が必要な)部分に安定した電圧「水圧」の電気「水」を供給しますので、グラウンドと同じく基本的に「すずメッキ線」を使って配線します。

 ただし、基板にはすでに「グラウンド」の「すずメッキ線」がありますので、電源の配線は、どうしてもグラウンドと交差してしまうかもしれません。

 そのため、グラウンドと交差してしまうところだけ「ビニール線」を使います。

電源の配線にビニール線を使った例(基板の左上)

 上の写真の例では、黄色の「ラッピング線」が基板の左上に使われています。

 この例ではグラウンドと交差していませんが、他の電源よりも電圧が高いため、間違えたり触って感電したりしないように、わざわざ絶縁された電線を使っています。もっとも、この回路の黄色い線の部分は12ボルトなので感電の危険はありません。なめたらビリビリしますが(汗)。

その他の信号線の配線

 その他の信号線は、「ラッピング線」を使うと便利です。ラッピング線は銅線の芯が1本の「単心」で、基板の配線に使うと作業が楽になります。

 私がお勧めするのは、メートル当たり百円前後しますが「ジュンフロン線」と呼ばれる、熱に強くて、芯線が銀メッキされている、ハンダごての熱では被覆(ひふく)が溶けなくて、しかも銀メッキされているためハンダ付けしやすい便利な電線です。

高価だが基板の配線に使いやすい「ジュンフロン線」

 長くなってきましたので、信号線の配線は別の機会に譲ります。

 ありがとうございました。

投稿者: takami

専門誌にインターフェースに1984年から執筆。専門学校講師としてメカトロニクスを教え22年。その他セミナー講師多数。電子回路設計からソフトウェア開発、電子機器開発、ファームウェア開発、データ通信、電話工事など何でもこなし温泉旅行とカラオケが趣味。近場でカラオケ好きな技術者と経営者の方と知り合いになりたいです。

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