電線の選び方と使い方

スピーカーコードの例

 電線の一番の目的は電気を安全に確実に伝えることです。具体的に言えば感電したり発火したりせずに少ない損失で電磁波の影響を受けずに電流を確実に流すのが目的です。

 ですから、基本的に電線には電気伝導率(導電率)の良い金属が使われますが、電気伝導率の最も良い金属(電気抵抗が小さい金属)は銀ですが、銀は価格が高いため、銀の次に電気伝導率の良い銅が使われることが多いです。

 銅の次に電気伝導率が良い金属は金ですが、価格が極めて高いため、電線として使われることはまずありませんが、酸化しにくいため、集積回路(IC)の内部配線などには使われることがあります。

 金の次に電気伝導率が良い金属はアルミニウムです。銅の1.5倍ほど電気伝導率が悪いですが、軽いため、大電流を流す必要があったり、またはテレビアンテナなどを軽くしたい場合に使われます。

電線の断面積と電流

 電線の電気を流す部分を芯線(しんせん)と呼びますが、芯線は断面積が大きいほど(太いほど)多くの電流を流すことができます。

 断面積が小さい電線に大電流を流すと、電線の電気抵抗により発熱量が多くなり、電気が熱になって失われる損失が多くなるばかりでなく、温度が上昇して発火したりすることもあります。

 そのため、流す電流が大きくなるにつれ、断面積が大きい(太い)電線を使わなければなりません。

裸線と被覆(ひふく)電線

 金属製の芯線だけの電線を裸線と呼びますが、機器の外部に露出する場合に裸線を使うと感電したり短絡(たんらく=ショート)したりする危険がありますので、人間が触れない場所や電圧が低くて機器の内部に隠れる場合以外は基本的にビニールやテフロン樹脂などの絶縁体(ぜつえんたい=電気を通しにくい物質)で芯線を覆い(おおい)、被覆線(ひふくせん)として使います。

 電線の被覆には、価格の安いビニール(PVC)がもっとも多く使われますが、ビニールは耐熱温度が低く溶けやすく火災の原因になることもあるため、精密機器や高温になる電気ストーブや電気コンロなどは高温に耐えられる被覆が使われることがあります。

 また、ビニールに放射線を当てると変質して固くなる性質を利用した耐熱ビニール電線も良く使われます。

単線(たんせん)と撚線(よりせん)

 電線には、芯線が1本だけの単線と、芯線が複数(ふくすう=5本,7本,9本,11本など奇数本)ある撚線(よりせん=よってある線)の2種類があります。

単線の例
撚線(よりせん)の例

 流せる電流は芯線の断面積で決まりますので、単線と撚線で何が違うかといえば、曲げやすさと断線しやすさ、配線のしやすさです。

 単線は芯線が1本だけですので、電線を接続する際に、被覆を剥いて(むいて)ねじ止めしたり、差し込んだり、はんだ付けしたりすれば済みます。

 それに対して被覆線は芯線が複数ありますので、ねじ止めしたり、差し込んだり、はんだ付けしたりする際に芯線がバラバラになり、飛び出した一部の芯線が隣の配線とショートしたり、感電の原因になったり、一部の芯線が断線して発熱量が増えたりします。

 また単線は太くなると電線というよりは金属の棒に近くなりますので、曲げにくく、何度も曲げたり戻したりすると金属疲労により断線したりします。

 そこで、普通は機器内部や壁の裏の一旦配線したら動かさない配線には作業効率が良く価格も安めの単線を、電気製品の電源コードのような曲げたり伸ばしたりする配線には、個々の芯線が細くて曲げやすく断線の可能性も低い撚線が使われることになります。

電線とケーブル

 電線は、電気製品の電源コードやスピーカーの配線などに使うコード、テレビアンテナの配線などに使われる同軸ケーブルなどのように、必ず2本以上の芯線が必要な場合があります。

ケーブルの例(シールドケーブル)

 こうした場合に、別々の電線を何本も配線したりすると、見た目が悪くなるばかりでなく、足を引っ掛けてケガをしたり、その結果感電したり、ショートしたりして大事故につながることもあります。

 そこで、必要な本数をひとまとめにして更にビニールで覆ったり、横につなげたりしたケーブルが使われることがあります。

フラットケーブルの例

 芯線が2本のものはあまりケーブルとは呼ばず、平行コードまたはツイストペア線と呼ばれる場合が多いです。

平行コードの例

同軸ケーブルとツイストペア線

 テレビのアンテナ線などに使われる同軸ケーブルは、単線の銅線(芯線)と、その周囲を覆うポリエチレンなどの被覆、そして更にその外側を包むシールド(網線)で構成され、どこで切っても金太郎の飴(あめ)のように、同じ断面を持ちますので、「同軸」と呼ばれます。

同軸ケーブル(アンテナ線)とF型コネクターの例

 外側のシールド(網線)はケーブル(伝送路=でんそうろ)の途中で電磁波の影響を受け、誤作動したり信号波形が変形したり、画面が二重三重に映ったり(ゴーストと呼ぶ現象)するのを防止するために、外部の電磁波から芯線を防御(シールド=盾=たて)の役割を果たすものです。

 ただし、シールド(網線)は接続が面倒で、ケーブルが固くなり曲げにくく、価格も高くなるので、平衡(へいこう)伝送と呼ばれるプラスとマイナスが対になって入れ替わる方式(パソコンのUSBやLANなど)では、シールドの代りに2本の電線をねじって、両方の線が同じだけ電磁波の影響を受けるようにすると、プラスとマイナスで打ち消し合って、結果的に電磁波の影響を受けにくくなるため、値段が安く、曲げやすく、接続しやすく、細くできる「ツイストペア線」が使われます。

ツイストペア線(平衡ワイヤー)の例

コメントを残す